2013/05/21 by うつせみ
ネオ・ダーウィニズム批判



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 現代の正統派進化論は、間違っています。いや、正確には、それは自然科学の理論ではありません。自然選択説は、人為選択の類推から作り出されたことからも理解されるように、それ自身は自然の擬人化にすぎません。

第一章 概要  
第二章 自然選択説批判
   2.1  自然選択説は論理的に破綻している  
   2.2  自然選択説の正体と二種類の説明方法  
   2.3  第1の手法:価値観を使った説明法  
   2.4  第2の手法:因果関係を使った説明法  
   2.5  ネオ・ダーウィニズムの説明手法  
第三章 突然変異説のトリック
   3.1  鶏が先か、卵が先か  
   3.2  言霊信仰と現実  
   3.3  言葉の生物学的意味  
   3.4  もうひとつの道  
 第四章 結論  




第一章 概要

 生命現象に関する物理学的考察作業を行っていたとき、現代の正統派進化論が間違っているらしいことに気づきました。そこから得られる結論が、ネオ・ダーウィニズムの主張するそれと、あまりにも異なり過ぎていたからです。しかし、もちろん、そのときは諦めていました。まだ、早すぎると思ったからです。その結論は、あまりにも現代の科学的常識とは掛け離れすぎていて、とても、まだ理論化出来るほどの知識やデータが蓄積されているとは、思えませんでした。
 ところがある時、今西錦司氏の『進化とはなにか』を手にして驚いてしまいました。『ま、まさか。』と思っていたものが、そこにあったからです。しかも、想定していた以上の完成度で。まさに、『場の理論』そのものでした。そのとき感じていた薄ぼんやりとしたイメージが、みるみる具体化してきました。その知識量は、生命現象の壁を乗り越えていくには、まだまだ不充分でしたが、少なくとも、足場を築くには充分でした。

 これから述べる内容は、物理学の『場の理論』と、制御工学の知識を使って、今西氏の『棲み分け理論』と、木村資生氏の『中立説』を統一し、全く新しいタイプの生物進化の理論の一部です。まず、最初に、学問的儀式に則って、現代の正統派進化論の批判作業を行います。なぜ、ダメなのか、その理由を明確にさせます。

  ここでの結論は、ちょっと意外かもしれませんが、『間違っている。』ではなくて、正確には、『それは自然科学の理論ではない。』です。自然科学の理論としての条件を満たしていないことを説明します。



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