【社説】国連「日本は元慰安婦に汚名を着せるな」

 国連の経済・社会・文化的権利委員会は17日に採択した報告書で「いわゆる従軍慰安婦だったとされる韓国の女性たちに対して誹謗(ひぼう)中傷が行われている」と指摘した上で、日本政府にこうした言動を防ぐ手だてを講じるよう求めた。同委員会は今年2月、極右性向を持つ日本のロックバンドが元慰安婦の韓国人女性たちを売春婦と侮辱する歌のCDを制作し、元慰安婦本人に送り付けた問題なども判断の参考にしたようだ。

 旧日本軍は太平洋戦争当時、植民地支配していた朝鮮の女性を中心に中国、フィリピン、タイなどに加え、インドネシアに居住していたオランダやオーストラリアの女性たちまで性的奴隷として強制動員した。日本の内務省や陸軍省の公文書、米国による日本人戦犯への尋問書、オランダ情報部隊の文献などにはこれらの事実が明確に記載されている。被害者たちは1人がようやく横になれる狭い空間で、1日に数十人の日本兵を相手に苦しみ、時には死に追いやられ、何とか生き延びたとしても、一生羞恥心に苦しまなければならなかった。

 日本の安倍晋三首相は日本によるこれら一連の戦争犯罪の被害者に対し「慰安婦が強制的に動員されたという証拠はない」という妄言を繰り返しており、また日本維新の会の橋下徹・共同代表(大阪市長)は「兵士たちにとって慰安婦制度が必要なことは誰でも知っている」と言ってのけ、日本の政治指導者の道徳と良心のレベルがこの程度だということを世界にあからさまに示す結果となった。一国のトップの立場にある人間がこの程度のレベルなら、彼らを見て育つ若者の中から道徳的な感情のまひした人間が出てくるのも当然のことだ。

 日本の友好国である米国の政治家やメディアが「おぞましい」「嫌悪する」などと指摘し、中国政府は「人類の良心に挑戦する発言」などと激しく非難したのは当然のことだ。国連から対策を講じるよう勧告を受けたのは、日本という国にとって恥だ。もし今後も日本の政治指導者といわれる人間たちが反人倫的、反歴史的妄言を繰り返すのなら、人間として持つべき基本的な要素である恥の感情そのものさえ完全に失ったと言わざるを得ない。

 今も日本では元慰安婦被害者で88歳のキム・ボクトンさん、86歳のキル・ウォンオクさんが各地を回りながら自分たちの体験について証言している。2人は24日には妄言の主人公である橋下氏に会う。安倍首相も、2人が自分の親戚だったらという前提の下、2人の懸命な思いに耳を傾けなければならない。それでも何も感じないとすれば、われわれは彼らをあきらめるしかない。

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