忍者について
深夜の大名屋敷の大屋根の上で、敵味方の忍者が得意の忍法を駆使して対決する。 手裏剣を投げ、翔び、跳ね、自分の技に誇りと命を賭けて死闘を繰り広げる忍者たち。 非情な掟に縛られた、彼ら忍者とはどのような存在だったのでしょうか? |
はじめに | ||
「サスケ」「忍法秘話」など白土さんの作品を次々に読み、その忍者の世界のとりこになってしまいました。 その後、「梟の城」や、真田十勇士の霧隠才蔵を主人公にした「風神の門」など司馬遼太郎さんの忍者小説を読むことにより、私の忍者に対するイメージが完成したようです。 「真田太平記」「蝶の戦記」など池波正太郎さんの忍者小説もありますが、文体が明るくて?、なんか違うなって感じですね。忍者は闇の中で行動する、暗く非情なものという先入観があるもので。 昔の横山光輝さんのマンガ「伊賀の影丸」(週刊少年サンデー)や、テレビの「隠密剣士」(1962〜)の忍者を見慣れた私にとって、1980年代に放送された時代劇「影の軍団」(80〜85)などは違和感があり、さっぱり忍者らしさを感じません。 現在ではテレビやマンガから忍者の姿は消え失せ、たまに見ることがあっても、ピンクや黄色の衣裳に網タイツ姿のくノ一、あれは何だ〜(笑)。それに手裏剣を投げなくなりましたね。子供がマネすると危険ということで自主規制でもあるのでしょうか? |
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Contents | ||
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↑忍び道具 |
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「孫子」における間者(スパイ、間諜) 「孫子」は中国最古の兵法書。 | ||
「孫子」の用間篇に「爵禄百金を愛(おし)みて敵の情を知らざる者は、不仁の至りなり」とあります。 爵位や俸禄や百金を与えるのを惜しんで、敵情を知ろうとしない者は不仁のいたりである、というのです。 孫子は情報活動の重要さを強調して、敵情を知ることの必要性、「戦に勝つには敵を知り己を知らなければならない」と言っています。 敵情は祈りや占いで知るのでなく、かならず人間(間者)によって得るものであると。 間者(スパイ)には「郷間」「内間」「反間」「死間」「生間」の五種類あって、間者を使いこなすことは、君主たる者には大切なことであるとしています。 郷間・・・・その郷人に因りてこれを用うるなり。 敵国の領民を使って情報を集める。 内間・・・・その官人に因りてこれを用うるなり。 敵国の役人や要人を買収して情報を集める 反間・・・・その敵の間に因りてこれを用うるなり。 敵の間者を買収・脅迫などして利用する。 死間・・・・誑事(きょうじ・偽り事)を外に為し、吾が間をしてこれを知って敵に伝えしむるなり。 死を覚悟して敵国に潜入し、ニセ情報を流す。わざと捕らえられて偽情報を自白する。 生間・・・・反(かえ)り報ずるなり。 敵国から生きて戻り、情報をもたらす目的で潜入する間者。 この五種類の「間」、これこそが「忍者」なのでしょう。特に「生間」、敵地に潜入して情報を得て、生還して報告する者、これがイメージ的に最も忍者らしいと思います。 |
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忍者の歴史 | ||
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甲賀では「甲賀郡中惣」という自治共同体が形成されていて、「甲賀五十三家」(山中・伴・望月・鵜飼など)が対等で支配していました。伊賀における上忍三家(服部・百地・藤林)のような特定の支配者がいませんでした。そのため甲賀は上忍が存在せずともいわれます。個人技に優れる伊賀衆に対し、甲賀衆は集団技に優れていたそうです。 |
打竹 うちたけ |
短い竹筒の中に常時火種を入れて持ち歩くためのもの(火打石などで着火すると音を立てたり時間がかかるので)。 ろうそくに火を点けたり、放火するさいに使いました。 |
三尺手拭い | 手拭いは頬被りや覆面になり、包帯や鉢巻き、帯にも使えました。泥水を濾して飲むのにも。石を包んで振り回せば武器にもなりました。 |
石筆 | 石筆は書いた後(仲間への目印など情報連絡後)すぐに消せるので、墨より便利だったそうです。また、普通の墨の矢立も必携品でした。 |
鉤形の鉄製の金具に長い麻縄を付けたものです。高所へ登る時や降りる時など、堀や小河川を越える時に用いました。捕らえた敵を縛るのにも使えました。 | |
忍薬 | 薬は虫除け、胃腸薬、傷薬、血止めがあります。他に毒薬と携帯食料を常備しました。毒薬はトリカブトやヒ素が用いられました。 |
編笠 | 顔を隠すために使いました。内側から外がよく見え、人から顔が見えない。服装を変えれば別人になりすませました。 |
「忍び六具」の他に必要に応じて下の武器や道具を携帯しました。 | |
鉄製の小武器。サビ止めと目立たぬように黒の焼き付け塗装がされています。十字手裏剣、八方手裏剣、棒手裏剣など各種あります。 手裏剣は投げると言わず、打つと言います。1本ずつ縦に持って投げるのが基本ですが、横打ち、座り打ちなどあります。有効射程は約15メートル。 |
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刀は長い物を背負うと狭い場所で邪魔になるので、刃部が50センチ以内の短い刀を腰に帯びました。刀身が光らないように黒く塗ってありました。 刀を塀に立てかけ、鍔に足をかけて登るのにも使いました(刀は下緒をたぐって引き上げる)。 |
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敵に追われた時に後方に撒くのですが、長い糸に約20センチ間隔で多数のまきびしを結びつけ、引きずりながら走ると、敵は危険で追いすがれなかったそうです。数十本の糸に一個ずつ結びつける(糸が切れても残るまきびしが多い)方法もあったそうです。 | |
下駄の周囲に浮き袋を付けた物。堀など水を渡るさいに足に履いたそうですが、実験では不可能だとか。ただしこの上に座ったり腹這いになれば可能だそうです。 | |
くない |
鋼鉄製の平たいヘラ状の先がとがった物。雨戸などをこじ開けたり、錠前を壊すなど用途はいろいろ。土を掘るシャベルにも使え、武器にもなりました。 |
しころ | 携帯用のこぎり。大小あり、大は長さ約12p。鉄格子が切れるものまであったそうです。(上図参照) |
坪錐・鑓錐 | つぼきり。やりきり。板戸や天井に穴をあける道具。(上図参照) |
鎖帷子 くさりかたびら |
敵の刀や手裏剣から身体を守るためのものですが、重い鎖帷子は、行動の邪魔になるので、闘争が予想される時以外は着用されませんでした。 |