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「一切の政治的活動を行わない」日本映画大学が教授らに誓約書への署名要求/川崎

2013年5月23日

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「学内において一切の政治的活動を行わず」の一文が盛り込まれた日本映画大学の誓約書

「学内において一切の政治的活動を行わず」の一文が盛り込まれた日本映画大学の誓約書

 国内初の映画単科大学として、2011年に川崎市麻生区に設立された日本映画大学(佐藤忠男学長)が、教授らに学内で「一切の政治的活動を行わない」などとする誓約書への署名を求めていることが22日、分かった。「表現と政治的、思想的立場は切り離せない」として拒んだ非常勤講師が同大学を去り、誓約書への署名要求を「不当」とする公開質問状を大学に提出する事態に発展。他の芸術大学の関係者からも「表現の自由」侵害への懸念の声が上がるが、大学側は「社会通念上問題はない」としている。

 演劇評論家の鴻(おおとり)英(ひで)良(なが)さん(65)は、同大学の開学当時から非常勤講師を務め、12年4月からは教授に就任する予定だった。同年3月、正式契約の際に、大学から誓約書を提示されたという。その文面には、「学内において一切の政治的活動を行わず」とする記述があった。鴻さんは署名せず、教授就任の話は流れた。

 「演劇評論に限らず、映画や文学などの表現活動は、もともと政治的信条や思想を抜きには成り立たない。サインをしたら学生に何を教えればいいのか。どんな映画人を育てるのか自信が持てなかった」と、鴻さんは語る。

 鴻さんは同年5月、映画評論家の佐藤学長宛てに公開質問状を提出。「映画作品について語ることは、批評家の政治的判断と関わらない形でどのように可能なのか」などとした。対して大学は「表現活動を過度に萎縮させるものではない」などと回答。

 大学によると、同様の誓約書への署名は、前身の日本映画学校時代から講師らに求めてきたという。「学校も就職する先生も、だれも疑問に思っていなかったため、大学になっても続けている」と説明する。

 鴻さんの主張に対して、大学側は「一定の政党や宗教団体の考え方を教室に持ち込まないという趣旨だった。見解の相違だ」とした。ただ「誤解が生じた」として、今後も誓約書を求め続けるかは、検討するという。

 同大学の対応には、他の芸術大学の関係者からも疑問の声が上がる。東京芸術大映像研究科のある教授は、教授就任時に同様の誓約を求められたことは一切ないとし、「日本映画大学が映画作家でもある教授たちの表現の自由を妨げるようなことをするとは、とうてい考えられない。何かの間違いでは」と驚きの表情を浮かべた。

 「表現の自由」に詳しい立教大社会学部の服部孝章教授(63)は、誓約書について「拡大解釈され、(教授らの)思想信条の自由を損ないかねない懸念があり、問題だ。映画とは社会的矛盾や争点をあぶりだすもので、政治的立場を抜きにすることは絶対不可能なはずだ」と話す。

 日本映画学校時代から20年以上かかわっている佐藤学長自身は、1996年に誓約書に署名しているという。今回の件について「教育の現場で表現の自由は守られている。人材育成に問題はない」と強調している。

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