脱法ハウス:都内で増加 消防法違反で危険

毎日新聞 2013年05月23日 02時30分(最終更新 05月23日 02時50分)

L字形の「ハウス」。右手前の入り口から母屋に連なり、周囲は間際まで建物が迫る。火災時の避難路は確保されていない=東京都中野区で2013年5月22日、本社ヘリから山本晋撮影
L字形の「ハウス」。右手前の入り口から母屋に連なり、周囲は間際まで建物が迫る。火災時の避難路は確保されていない=東京都中野区で2013年5月22日、本社ヘリから山本晋撮影
シェアハウスの見取り図
シェアハウスの見取り図

 新たな居住スタイルとして住居の「シェアリング」(共有)が注目される中、ネットカフェ大手「マンボー」(東京都新宿区)が「シェアハウス」などとうたって運営する中野区の施設が、東京消防庁から消防法違反を指摘されていたことが分かった。狭い個室が多数並ぶ構造で、自動火災報知設備などがなく危険な施設と判断された。シェアハウスには法令上の定義がなく、脱法的な類似施設が近年増加しており、専門家は「火災が起きれば多数の犠牲者が出る」と警鐘を鳴らしている。

 東京消防庁や利用者によると、問題のハウスは中野区上高田3にあり、木造2階建て(延べ床面積約250平方メートル)に37の個室を設けている。各室とも窓がないか、あってもふさがれ、広さ約1.7畳の居室と約1畳の寝台からなる。

 共同住宅は消防法で一般住宅より厳しい防火対策を課される。さらに東京都は木造など耐火建築でない場合、床面積200平方メートル以上で自動火災報知設備の設置を条例で義務付けている。共同住宅ではなく事務所の場合は1000平方メートル以上と規制が緩い。

 マンボーは消防などに対し、「住居ではなく、24時間利用可能なレンタルオフィス(貸事務所)だ」と主張する一方、ホームページや看板で「話題沸騰中のシェアハウス」などと宣伝。利用者の多くが「住んでいる」と話し、半数以上が住民登録していたことも踏まえ消防は昨年7月、共同住宅と認定した。出入りできる窓もないため救助が難しいとして避難誘導灯の設置も要請した。同社は昨年末までに改善した。

 同社は5年ほど前からこの事業を始め、中野や新宿など都内約10カ所に展開する。実質的な経営者とされるのは元社長で大株主の森下景一氏(62)で、中野のハウスは同氏の自宅を改築したもの。

 森下氏は風俗産業で成功し「日本の風俗王」と呼ばれ、2004年分の所得税額が中野税務署管内で2位の高額納税者。だが、創業した会社が運営するテレホンクラブ「リンリンハウス」の神戸市内2店舗で00年、連続放火事件が発生し、4人が焼死。大阪高裁は03年、安全設備が不十分だったとして同社に対し、遺族への1億円超の賠償を命じた。

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