政治いま:対立軸どこへ(その2止) 「全世代つかめる」国民栄誉賞

毎日新聞 2013年05月22日 東京朝刊

 ◇自民、基盤復活探る

 ◇比例票減少に危機感 高度成長期の姿「巨人」に重ね

 <1面からつづく>

 政権は参院選のキャッチフレーズを昨年の衆院選と同じ「日本を、取り戻す。」にする。首相の思い描く理想の日本を取り戻す意味だ。

 自民党の衆院選比例票は郵政選挙の2005年で2588万票、政権から転落した09年は1881万票、政権復帰した12年は1662万票と減り続けている。安定した支持基盤が欲しい。

 だが、家族が多様化し、企業の海外進出が進み、雇用が流動化するなか、国民を束ねる共通の価値観は見えにくくなっている。政権には、「巨人・大鵬・卵焼き」のような日本が一体だった高度成長期のイメージを重ね合わせようとする思惑が見え隠れする。

 プロ野球・元巨人監督の長嶋茂雄(77)、巨人や米大リーグで活躍した松井秀喜(38)の両氏に対する国民栄誉賞表彰式があった5月5日夜、首相夫妻は母の洋子さん(84)とともに山梨県鳴沢村の別荘で過ごした。表彰式で自身を「アンチ巨人」と紹介した首相。洋子さんに「(巨人ファンが集まる)東京ドームであんなことを言う人がいるの?」ととがめられ、「あれは巨人ファン以外の人たちにメッセージを送ったんだよ」と説明した。

 首相があえてバランスを取らなければならないほど、表彰式は巨人一色だった。首相は巨人のユニホームを身につけ、渡辺恒雄球団会長(86)も同席した。

 首相周辺は「おじいちゃんから孫まで同時に心をつかむには長嶋氏と松井氏のセットが最適だった」と言う。政権は環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への交渉参加を急ぎ、日本社会のボーダーレス化が進む。だからこそ「日本が良かった時代」を象徴する長嶋氏と、海外に行っても長嶋氏の忠実な弟子だった松井氏の組み合わせが必要だった。

 しかし、「なぜ(元近鉄、米大リーグ・ドジャースの)野茂英雄氏ではないのか」という声も出た。井上章一国際日本文化研究センター副所長・教授(58)(風俗史)は「野茂氏はプロ野球機構の合意を踏みにじってメジャーに行ったのでデリケート。ああいう賞は巨人がふさわしい」とやや突き放した指摘をする。

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