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【企業徹底研究】vol.43 【更新日:2011.06.06】

ガラパゴス業界なのにボーナス100万円。朝日、毎日、読売、日経……新聞社の給与格差

  
  
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 インターネットの拡大で、旧来型メディアが苦境に立たされている。若い世代を中心に、
「ニュースはネットで充分」
 という人たちが急増中だ。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌という「4大メディア」は、視聴者や購読者の減少と、広告費の減収というダブルパンチを受けて、どこも経営状態が悪化。さながら、時代の変化に合わせて進化することができない「ガラパゴス」の状態になっている。
 大手マスコミといえば、かつては高給職場の代名詞だった。では、いまの厳しい環境の中で、待遇はどう変化しているのか。
 そこで今回は、新聞業界を見ていく。まずはボーナスだ。以下のデータは、新聞業界の労働者たちでつくる「新聞労連」がまとめた最新の2010年冬季ボーナスの一覧だ。

新聞社のボーナスは「格差3倍」の世界


 まず目を引くのは、ガラパゴス業界でありながらも、100万円超のボーナスを出している会社がいくつもあること。全国紙の朝日新聞や、大手通信社の共同通信、ブロック紙の北海道新聞や東京新聞は、この大台のボーナスを支給している。
 一方、発行部数が低迷して経営が苦しい毎日新聞は、半分の53万円。時事通信にいたっては、わずか3分の1の36万円にとどまっている。
 記者の仕事とは、
「取材をして、記事を書く」
 という点で、どの会社であろうと違いはないはず。ところが、そのようにまったく同じ仕事をしているにもかかわらず、給与の格差は3倍もあるわけだ。これが新聞業界の現状だ。

 では給与はどうか。キャリコネにも、新聞社で働く人たちの登録データがある。それぞれの声を見ていこう。
 毎日新聞で企画営業を担当する30代の男性は、年収450万円。
「経営方針が明確でない、不安。業界全体的に勢いがなく、この先どこまで生き残れるか分かりません。将来はあまり明るいものではないと思います」
 という。同社で働く女性記者(29)も、
「報酬・賞与は増えていかないし、将来的なことを考えるとけっこう心配。やりがいだけじゃなくて、会社・業界の将来性や自分の生活スタイルも考える必要があると思います」
 と述べている。年収は527万円だ。
 読売新聞は、毎日新聞に比べれば好待遇。男性記者(28)は年収が672万円ある。しかし、見通しは暗い。
「給与40万後半、冬賞与は90万円くらい。しかし休みはほとんどなく、時給換算にすればかなり悪い。しかもこれからはマスコミ冬の時代。これからもっと下がるであろう」
 と予想している。
 ブロック紙はどうか。中日新聞の男性社員(49)は、年収1600万円という。しかし、こんな不満をもらしている。
「給与水準を決めるのは、職種であり、記者職が最も給与水準が高い。その中でも社会部、政治部、整理部といった職種が相対的に高い。しかし、仕事の時間、責任を考えると、他部に比べてなお少ない。管理職が査定する額も非常にレンジが狭く、できる記者とそうでない記者の差がつきにくい」
 その結果、できる記者にとっては不公平感がかなりある一方、そこそこの記者や、高卒で入社する印刷関係の社員にとっては、世間相場からすると相当な給与水準になっているそうだ。

 新聞業界で、給与水準が高いのは、全国紙の朝日、読売、日経、通信社の共同、ブロック紙の北海道や東京、中日などだ。
 朝日新聞の場合、おおむね30代後半で年収1000万円を突破し、40代の中ごろには1500万円にもなる。50代で第一線に残っていられれば、2000万円にもなるらしい。
 しかし、こうした高い報酬も、数年前から曲がり角を迎えた。朝日新聞では2年前に、ボーナスが一律で3割カット。昨年からは、早期退職制度が実施された。
 しかし、この早期退職制度がまたすごい。45歳以上が対象だが、応じた場合は、
「その後の10年間、年収の半額を支給しつづける」
 という破格の内容。これは、一括で受け取ることも可能だから、年収1500万円で退職すれば、退職金は約8000万円にもなる。
 朝日新聞ではこの制度を利用して、昨年から今年にかけて、スター記者が続々と退社している。
 同社では今年、会社側がさらに1割の賃金カットを提示した。現在、労働組合側と交渉を続けている。
 組合側は今年の夏季ボーナスとして、40歳平均で142万円を要求。おおむね120万円前後で妥結する見通しだ。ガラパゴスとはいえ、まだまだ羨ましい給与水準といえるだろう。

(記事:Bizトピックス編集部 → 編集記者募集中

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