社会・生活 週刊文春 掲載記事
スクープ速報

共同通信「就活セクハラ」事件の恥ずかしい内部文書

 共同通信がようやく事実を認めた。

「関係者の処分が発表された5月20日は、夕方に緊急の部長会が招集されるなど、上層部は一日中、あたふたしていました。午後に開かれた懲戒委員会の結果を受けて、全国の加盟社に処分の概要を報告するため、各地の支局長には待機命令も出ました」(共同社員A)

 本誌は先週号で、昨年12月に共同通信の今藤悟(こんどうさとし)・総務局次長兼人事部長(当時)が就活中の女子学生をホテルに連れ込んで関係を迫ったという、前代未聞のセクハラ不祥事について詳報した(先週のスクープ速報はこちら)。今回、共同は初めて事実を認め、今藤氏を懲戒解雇処分とし、社長と専務理事、総務局幹部らの処分も発表したのだ。

 だが、共同は今年1月に女子学生の大学から抗議を受けて事実を把握していたにもかかわらず、今藤氏を処分もせずに休職させ、事件を隠蔽し続けていた。

 本誌の取材に対しても、共同はホテルに連れ込んだ事実を「承知していない」として、ウソをついた。取材で「単なる噂でいちいち調査します? しないよねえ」などと開き直っていた三土正司(みつちしょうじ)・総務局総務は、今回、戒告処分を受けた。

 本誌の取材以降、共同は迷走し続けた。本誌発売前日の15日には、「週刊文春の記事は事実誤認が多く(中略)場合によっては法的措置をとることも検討します」という文書(下掲左)を作成。ところが、翌日の文書(下掲右)では、一転して今藤氏がホテルに行ったことを認め、加盟社にお詫びしているのだ。

15日付の社内文書
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翌16日、加盟社へ送付された文書
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「文春への取材対応が悪かったという話は先週の部長会でも出た。場当たり的な対応をした三土氏も、上層部の方針に逆らえなかったのでしょう。今藤氏は石川聰社長が抜擢した人物ですから、社長に責任が及ぶことを恐れたのではないか。社長の決めた方針に異を唱える幹部は皆無で、いまの共同は独裁的な組織になっているんです」(共同社員B)

 その石川社長の処分は報酬減額。しかし、事件発覚から4カ月も放置してきた会社上層部の責任は極めて重い。

「会社は、女子学生の就活に影響がないよう配慮したために公表が遅れたのであり、隠蔽ではなかったと主張していますが、就活は4月で終わっていたはず。文春が報じなかったら、いまだに公表していなかったでしょう」(共同社員C)

 事実を隠蔽し続け、取材の場でウソをつくような報道機関――。トップが罪を認めて潔く身を引くべきではないか。

「週刊文春」編集部

この記事の掲載号

2013年5月30日号
2013年5月30日号
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2013年5月23日 発売 / 定価380円(税込)
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