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「福島と同等の賠償を」丸森町民、きょうADR申し立て

申し立てを前に、丸森町筆甫地区で原発事故の被害を訴えた弁護士(左)と住民代表

 東京電力福島第1原発事故で受けた精神的損害の慰謝料増額を求め、裁判外紛争解決手続き(ADR)を原子力損害賠償紛争解決センターに申し立てる宮城県丸森町筆甫地区の住民代表が20日、同地区で記者会見し、「福島県側と同等の賠償をしてほしい」と訴えた。21日に東京で申し立てを行う。
 会見には住民代表3人と担当弁護士が出席。申立人は筆甫地区の全住民の約9割に当たる272世帯698人(うち22人は地区外に避難)で、請求総額は7024万円。福島県外での集団申し立ては初めてとなる。
 筆甫地区振興連絡協議会の引地武男会長(71)は「地区は福島県と接し、放射線量も原発からの距離もほぼ同じなのに区別されている」と住民の思いを代弁。「現状を理解し同等の賠償をしてほしい。時間が掛かっても地区の暮らしを取り戻したい」と語った。
 「子どもが外で遊んだり、祖父母と一緒に野菜を収穫したりした光景は原発事故後、もう見られない」。小学生と幼稚園の3児の母の引地睦美さん(32)は地区の状況を説明し、「放射能による将来への影響に不安を感じ、悩み続けてきた」と訴えた。
 協議会の吉沢武志事務局長(36)は「福島県外の原発事故被災地にもっと目を向けてほしい」と呼び掛けた。
 筆甫地区は福島第1原発から45〜55キロ圏内で、2011年7月末の放射線量は地区14カ所の平均で毎時0.7マイクロシーベルトを計測。同じ時期に地区平均で毎時約0.2マイクロシーベルト以下だったいわき市平地区よりも数値は高かった。
 丸森町ではこれまで、精神的損害賠償として18歳以下の子どもと妊婦に28万円、大人に4万円が東電から支払われた。一方、いわき市や隣接する相馬市など福島県内23市町村の「自主的避難等対象区域」では、子どもと妊婦に52万円(避難した場合72万円)、大人に12万円が賠償された。
 筆甫地区住民は、被害は自主的避難等対象区域と同程度として、差額分の賠償金を請求する。


2013年05月21日火曜日


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