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【政治】

維新 「歴史認識」深まる混乱 両代表「侵略」で違い鮮明

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 日本維新の会の石原慎太郎共同代表は二十一日、党憲法調査会で講演し、旧日本軍の行為は自衛のための戦争であり、侵略ではないとの認識を示した。この発言は、過去の植民地支配と侵略を謝罪した一九九五年の村山富市首相(当時)による談話の否定につながりかねない。ただ、橋下徹共同代表は侵略を認める考えを示しており、党内で歴史認識の違いが露呈した。維新は橋下氏の慰安婦容認発言で批判にさらされているが、石原氏の発言は党内の混乱をさらに広げかねない。 (城島建治、中根政人)

 石原氏の講演は非公開だったが、小沢鋭仁国対委員長が内容を記者団に説明した。

 それによると、石原氏は先の大戦について「マッカーサー(連合国軍最高司令官)は米議会に呼ばれた時に『太平洋戦争は日本の自衛のための戦争だった』と証言していた」と指摘。侵略ではなく、自衛の戦争だったとの持論を展開した。

 石原氏は二月の衆院予算委員会でもマッカーサー氏の発言を紹介しながら「日本はいまだに戦勝国が敗者を裁いた東京裁判の史観にとらわれている」などと発言し、侵略を否定した。

 石原氏は現行憲法については「占領下で制定された」と強調。サンフランシスコ講和条約を結んだ時、吉田茂元首相が破棄すべきだったと主張した。

 一方、橋下氏は先の大戦は侵略戦争だったとの認識を示している。「敗戦国は責任を引き受けながら、自由、民主などを重視する国家になるべきだ」と主張する。

 慰安婦容認発言の幕引きを図るため、両氏は十九日に会談。従軍慰安婦に関する橋下氏の発言を撤回する必要はないとの認識で一致した。ただ、「侵略」の定義をめぐる歴史認識の溝は埋まらずじまい。党内結束を演出するため、党見解をまとめないことで一致するしかなかった。

 トップ会談後も両氏は持論の展開を止めない。橋下氏は二十日、記者団に「僕自身は、敗戦国として侵略戦争だったということは認めていく。世代の違いもある」と指摘した。

 維新は三月に公表した党綱領で現憲法を占領憲法と断じ、大幅改正を明記した。ただ、石原氏が憲法破棄を主張するのに対して、橋下氏は「破棄は無理。法改正の必要がある」と指摘している。

 もともと石原氏と橋下氏は、原発再稼働や環太平洋連携協定(TPP)など重要な政策で意見の相違を抱えたまま、昨年の衆院選直前に勢力拡大のため合流した。歴史認識でそのツケが噴き出している。

 

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