【田内康介、小田健司】北海道湧別町を襲った3月の地吹雪の中で父親が娘を抱いたまま亡くなった事故で、消防が父親の携帯電話の位置情報を携帯電話会社から得ようとしたが得られず、父娘の捜索を中断していたことが分かった。総務省は情報提供のしくみが整っていなかったことが原因とみて、位置情報をすみやかに伝えるルールを作り、全国の消防本部と携帯各社に通知した。
漁師岡田幹男さん(当時53)は3月2日午後3時ごろ、長女夏音(なつね)さん(9)と帰宅途中に軽トラックが雪にはまって立ち往生し、携帯電話で親族に助けを求めた。その後、徒歩で近くの知人宅を目指したが、途中で進めなくなり、娘の体を温めながら救助を待った。父親の携帯電話はひっきりなしに鳴ったが、手がかじかんで取れなかった。
消防や警察、携帯会社への取材によると、遠軽消防署上湧別出張所の署員3人が捜索し、午後9時34分に無人の軽トラックを見つけた。地吹雪で視界はゼロに近く、携帯電話の位置情報を入手しようと考えた。午後9時55分、遠軽町にある消防本部通信指令に位置情報の取得を求め、15分後、通信指令から「確認しているので現場で待機を」と指示された。
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朝日新聞社会部