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平成24年度 第8回
視聴者のみなさまと語る会〜NHK経営委員とともに〜in前橋
(平成24年12月8日開催)

 

<会 合 の 概 要>

 「経営委員会による受信者意見聴取」の平成24年度第8回は、前橋放送局で実施し「経営全般」「放送」の二つのテーマで、公募による37名の視聴者のみなさまからご意見を伺った。

 

<会 合 の 名 称>

視聴者のみなさまと語る会〜NHK経営委員とともに〜in前橋

 

<会 合 日 時>

平成24年12月8日(土) 午後2時〜4時

 

<出  席  者>

〔視聴者〕

公募による視聴者37名

〔経営委員〕

石 原  進      (委員)

 

大 滝 精 一    (委員)

〔執 行 部〕

木 田 幸 紀    (理事)

 

久保田 啓 一   (理事・技師長)

 

小 川 和 弘    (前橋放送局長)

〔司 会〕

山 本 哲 也  アナウンサー

 

< 会    場 >

 前橋放送局 1階 スタジオ

 

< 開 催 項 目 >

 以下のとおり進行した。

 

1 開会あいさつ

2 経営委員による説明

  協会の基本方針その他協会の運営に関する重要な事項について

3 意見の聴取

 (1) NHKの経営全般について

 (2) NHKの放送について

4 閉会あいさつ

 

 「視聴者のみなさまと語る会」終了後、「大河ドラマ『八重の桜』制作舞台裏」と題して、内藤愼介エグゼクティブプロデューサーによるトークショーを開催した。

 

<概要・反響・評価>

  • 公募の結果、はがき、ホームページなどを通じて、計62名から参加の申込があり、全員に案内を送付した。その際、参加者の意見把握と参加意志の確認のために事前アンケート調査を実施したところ、45名の方から回答、返送があり、36名の方が参加すると答えていた。当日は、37名のみなさまが来場された。

  • 「経営全般」と「放送」の二つのテーマを設定し進めた。参加者からは「受信料制度」「技術開発」「ドラマ番組」「番組編成」など多岐にわたる意見、提言があった。

  • 終了後の意向集約のアンケート調査を行ったところ30名の参加者から回答をいただいた。

  • 参加者の満足度については、「大変満足」10名(33.3%)、「満足」13名(43.3%)、「普通」3名(10.0%)、「不満」1名(3.3%)、「大変不満」1名(3.3%)、未記入2名(6.7%)という回答をいただいた。

  • また、回答者の33.3%にあたる10名の方が「経営委員会の仕事を知らなかった」としていたが、「語る会」の終了後には「よく知っていた」「知っていた」と答えていた方も合わせて70.0%にあたる21名の方が「経営委員会の活動について理解が深まった」と回答した。


◆協会の基本方針・重要事項の説明

 (大滝委員)

 改めまして経営委員を務めております大滝と申します。私は、平成19年12月に経営委員に任命されて、今年5年目ということになります。
 それでは、早速ですけれども、初めに私ども経営委員会の役割につきまして説明をさせていただきたいと思います。
 経営委員会の役割は放送法に明文化されており、NHKの経営の基本方針などの議決や、会長以下NHK執行部の役員の業務の監督など、NHKの経営に対する重い責任を負っております。経営委員は衆参両院の同意を得て、内閣総理大臣に任命されます。委員の選任に当たっては、教育、文化、科学、産業その他の各分野及び全国各地方が公平に代表されることを考慮しなければなりません。任期は3年で、再任されることもあります。定数は12名ですが、現在は11名の体制となっております。
 また、経営委員の中から井原委員、上村委員、渡辺委員の3名が監査委員に任命されており、経営委員会を含めた役員の職務の執行を監査する役目を担っています。
 私ども経営委員には、視聴者の皆様のご意見を直接伺うことも定められています。これは視聴者の皆様の声を直接聞かせていただき、NHKの経営に活かすということであると考えております。本日は、その機会として皆様からNHKに対する忌憚のないご意見をお聞かせいただきたいと思っていますが、その前に、この会合においては経営委員が協会の基本方針や重要事項を説明することという定めもございますので、いま少しお時間をいただき、平成24年度から26年度3か年のNHKの経営計画と平成24年度の収支予算と事業計画について簡単に触れさせていただきます。
 初めに、24年度から26年度のNHK経営計画についてです。3か年の基本方針のもとに4つの重点目標で構成しています。公共放送の原点に立ち返り、その役割の達成を目指すことを強く意識しました。
 重点目標の1つ目は「公共」です。未曾有の被害をもたらした東日本大震災でのさまざまな体験や教訓を生かし、いかなるときにも皆様の安全、安心を守るための情報をいち早く正確に提供するため、放送機能を強化します。
 2つ目は、「信頼」です。これは世界に通用する質の高い番組、そして日本、地域の発展につながる放送やサービスの充実に取り組みます。
 3つ目は、「創造・未来」で、進展する放送と通信の融合時代にふさわしい新しいサービスを充実させます。
 4つ目は、「改革・活力」で、効率的な経営を行い、公共放送の価値を最大に高めるとともに、受信料制度をご理解いただき、受信料の公平負担に向けて努力します。
 視聴者の皆様へ受信料を還元するために、NHKにとっては事実上初めてとなる受信料の値下げをお約束し、今年10月から実施しました。
 3か年の事業収支についてご説明しますと、今、申し上げました受信料の値下げにより、3か年で1,162億円の減収となり、25年度は47億円の赤字となる厳しい計画です。現在、NHKの役職員全員で受信料の制度理解と増収に向けて取組を行っており、少しでも収支改善できるよう努力しています。
 続きまして、NHKの平成24年度収支予算と事業計画の概要をご説明します。24年度の予算はただいまご説明いたしました3か年の経営計画に基づき編成されています。
 収入は10月から実施した受信料の値下げの影響により前年度に対して減収となります。一方、支出は重点目標である放送機能の強化を実施するとともに、放送サービスの充実を図りますが、テレビ放送の完全デジタル化が終了したことにより、受信対策費が大幅に減ることに加えて、業務の棚卸しを実施することで経費の削減を行います。これにより収入、支出ともに6,489億円となる収支均衡予算を編成しました。
 ただいまご説明しました経営計画及び24年度予算を着実に実行するためにも視聴者の皆様からいただくご意見やご要望は大変貴重であると考えております。今日も前橋放送局にお集まりいただきました皆様より頂戴するご意見、ご要望は、私ども経営委員全員はもちろんのこと、執行部とも共有して今後のNHKの経営に反映させてまいりたいと考えております。
 私からの説明は以上です。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

《視聴者のみなさまからのご意見とNHK側からの回答》

 

第1のテーマ:NHKの経営全般について

【会場参加者】
 NHKではホテルからも受信料をもらっているそうだが、それはテレビの台数全体からもらうのか。それともアンテナの本数でもらうのか。

【会場参加者】
 知人に依頼された意見だが、受信料を、いわゆる公共料金、例えば電気、水道など、インフラにかかわる料金のように使用量に見合って支払うシステムを構築できないのか。

【会場参加者】
 新聞にスクランブル化についての記事があったが、それに対してNHKは、公共放送の理念に反するという理由で拒んでいるらしいが納得できない。その記事では、導入賛成が88%、NHKの番組を見たくないが69%という結果も出ている。スクランブル化の導入は必要だと思うがどうか。

【会場参加者】
 NHKには、スポンサーがなく、中立・公平・公正をきちんと維持できるならば、ある程度お金を支払うのは仕方がないと一日本国民としては考える。
 例えば全国紙であっても、新聞にはご存じのように、週刊誌などいろいろな団体の広告がある。民放にもいろいろなスポンサーがついている。すると、スポンサーにおもねることも十分に考えられる。やはりNHKの特色というのはスポンサーによらず中立・公平・公正の報道がきちんとできることだと私は考える。

【会場参加者】
 放送というものは公共、「公」である。国民が欲しいからつくったもの。それを個人が料金どうこう言うのは、日本国民としてどうか。話は個人でつくったものではないというところから出発して欲しい。

【会場参加者】
 やはり受信料は必要。幾らが適正なのかというのはよくわからないが、公平・公正・中立、何ものの権力にもおもねらないしっかりした報道は、NHKに託すしかないと信じている。私はNHKの大切さは重々承知している。

(大滝委員)
 ご意見ありがとうございます。原則的なことになりますが、NHKとしてどのように考えているのか、ご説明を申し上げたいと思います。
 ホテルの受信料につきましては、基本的に受信機、テレビの台数に対して受信料をいただいています。ただし、一定の原則に則った割引をするなど、受信料の徴収の考え方が一般家庭とは違います。これについては改めて執行部のほうから説明をいただきたいと思います。
 2つ目に、他の公共料金のように、番組を見た時間に応じて受信料を払う体系を考えることができるのではないかというご意見をいただきました。いわゆるペイ・パー・ビューと言われているもので、極端な場合、NHKの番組を一切見ないので私はNHKに対する受信料を払わないと考えていらっしゃる方もいるのではないかと思います。しかし、放送法でも規定されているのですが、今の受信料は、NHKの番組を仮に見なくても、放送の公共性を担保するために、テレビを設置、受信機をお持ちの方からいただくというルールに基づいた考え方によっております。
 今、お話がありましたように、いろいろな考え方があるかと思いますけれども、少なくとも公共放送というものを国民一人一人が担っていくということが原則であって、NHKの番組を見るか見ないかということで受信料を支払うか否かという、そういう考え方には立脚していないことをご理解いただきたいと思います。それが正しいかどうかということについてはいろいろな議論があると思いますが、今の放送法における受信料の考え方はそうしたものに立脚しているということについてはご理解いただきたいと思います。
 それから、スクランブル化についても一言だけ申し上げたいと思います。スクランブル化については、スクランブルをかけることによって、受信料を払っていらっしゃらない方について、誰が払ってないかということをきちんと探知してその方から受信料を徴収したらいいのではないかという、大変合理的な考え方の一つだと思います。しかし、放送法ではこのスクランブル化の考え方を採用しておりません。
 その理由は、全国どこでも放送を分け隔てなく視聴できるようにするのが、公共放送の理念、使命だと考えているからです。もちろんスクランブルをかけて、放送を見られなくしてしまうというある種の罰則的なルールを課して、その人たちに放送を提供しないという方法は、考え方としてはあり得ると思いますが、少なくとも現在のNHK、放送法はそうした考え方には立脚していないということをご理解ください。

(小川局長)
 契約単位には大きく分けて2つあります。1つが世帯。そしてもう1つは世帯外で、我々は事業所という言い方をしています。世帯の場合には、1世帯で1契約です。つまりお宅に5台テレビがあっても契約は1つでよいことになっています。一方、事業所は、設置場所ごとにいただくことになっています。ですから、ホテルの場合は各部屋が1つの設置場所の単位となり、100室あって100室に1台ずつテレビが置いてあれば、100の契約をいただくということになります。ただ1室に2台ある場合は、設置場所としては1つですから、契約は1つです。ですから必ずしも台数だけではないのですが、通常、ホテルの場合には、100室あればそれぞれの部屋に1台ずつで合計100台ありますので、100台分のご契約をいただくというのが原則です。

(木田理事)
 先ほど、メディアの調査結果についてご意見いただきましたが、NHKでも今年度から、NHKがどのように思われているか、見られているか、というアンケート調査を1年に2回、定期的に行っています。最新の調査結果は7月に行ったもので、NHKのホームページにも掲載しています。
 この調査は、NHKのいろいろな役割について14の項目に分けてアンケートを行っているのですが、NHKの調査とは言わず、テレビに関する調査という形にして、全国3,600人の方に虚心坦懐に答えていただきました。
 その中で、例えば公平・公正な放送がされているか、迅速、正確な情報提供がされているか、といった、いわば公共放送としての生命線の項目については、およそ8割の方から期待しているし、ほぼ実現されているとお答えをいただいています。そういう意味では、この調査結果からは、全国的に、かなり多くの方に信頼されていると感じています。今は、その信頼を少しでも上げていく努力を日々続けていきたいと考えています。
 NHKホームページの下に「経営情報」という項目があり、開いていただくと四半期業務報告として載っていますので、ほかの項目についてもお知りになりたい方は、ぜひご覧いただければと思います。

【会場参加者】
 経営委員の中に哲学者や歴史学者といった人も少し入れてもらったら、もっといい番組ができるのではないか。

【会場参加者】
 J:COMなどCATVを通してテレビを見ている場合、J:COMに受信料より高い視聴料を払っているが、NHKの受信料はどうなっているのか。

【会場参加者】
 先ほど大滝委員がスクランブルの話をされたが、私は、NHKはニュースとか、緊急放送などは公共放送として絶対にやらなければいけないと思うが、ドラマや歌謡コンサートや趣味の番組などにはスクランブルをかけてもいいと思っている。WOWOWに加入しているが、WOWOWも無料放送と有料放送と分けている。そのようなことからも私としては、スクランブルを考えたほうがよいと思う。
 それからもう1つ。今、パソコンやワンセグなどでもテレビの番組を見ることができるが、そうした対策はどのように考えているのか。

(小川局長)
 ケーブルテレビに加入していただいている場合、受信料のお支払いには2つの方法があります。一つは、NHKと受信料の契約をしていただき、受信料はNHKに支払い、ケーブルテレビの利用料金はケーブルテレビ会社に支払うという、別々にお支払いいただく方法です。二つ目は、ケーブルテレビ会社にNHKの受信料もあわせてお支払いいただく方法です。その場合、NHKは、ケーブルテレビ会社からまとめて受信料をいただいています。この方法では、団体一括割引が適用されることもありますので、こちらをご利用いただいている方が多いのではないかと思います。
 また、パソコンやワンセグでの視聴についてご指摘をいただきました。受信料との関係で申し上げますと、NHKのテレビ放送を受信できる設備であれば、従来のテレビとテレビチューナーが入っているパソコン、ワンセグとで分けて考えてはいません。制度的にはそれらはすべてNHKの放送を受信できる受信設備ですので、ご契約の対象になります。
 ただし、先ほど申し上げましたように世帯の場合、既にご契約をいただいていれば、ワンセグをご家族で複数台お持ちになっていたり、テレビチューナー付きのパソコンをお持ちでも、世帯としては1契約ですので、そこに包含されます。
 もしパソコンだけしかないという方であれば、お伺いした時に、「テレビをお持ちですか」、「持っていません」、「パソコンでテレビをご覧になっていますか」と最近はお伺いするようにしています。そこでテレビチューナーのついたパソコンをお持ちであれば、ご契約が必要になる、というご説明をさせていただいています。

(石原委員)
 スクランブルの話が出ましたが、ニュースだけでなく公共放送として、すべての番組をあまねく見られるようにする、誰でも見られるようにすることは公共放送の使命だと思います。すべての番組が見られるという前提である以上、すべての視聴者、国民に受信料をご負担いただくという考え方であることを改めてご理解いただきたいと思います。

(大滝委員)
 NHKオンデマンドのように受信料とは別料金で提供するサービスは通常の放送とは別に考えているものですので、区別していただく必要があると思いますが、少なくとも通常の放送では、有料放送、無料放送という考え方をNHKも放送法もとっていないということです。ただ、そういう意見がありましたことについては、承っていきたいと思います。

(石原委員)
 受信機をお持ちの方でも、受信料をお払いいただけない方がいるわけです。NHKとしてもそこは重要視しておりまして、営業部門では、ご訪問し、制度のご説明をするなど、できる限りご契約をいただく努力をしています。それでもなお、やはり払わないという方に対しては、最終手段として民事訴訟を提起しています。つい最近もどうしてもご契約していただけない20世帯に対してやむを得ず民事訴訟を提起しました。

【会場参加者】
 大半の方は理解して受信料を納めていると思うが、群馬県内で未払いの方はどのくらいの率なのか。税の徴収とNHKの受信料は異なるという考え方ではあるが、あまねく受信できる公共放送を支えるというのが国民の使命だとすれば、受信料の未払いというのはもってのほか。公平を期す意味でも、未払者に対して徹底して納めてもらう努力をすべき。

【会場参加者】
 先ほどの補足になるが、私に意見を依頼した人は、NHKをあまり見てない。その人に聞くと、受信料はマナーで払っていると受け止めていた。私は、放送法のことは以前から関心があったので知っていたけれども、1つここで気づいたのは、PRが不足しているのかなということ。
 ここに今日見えている方は多分NHKに対していろいろな角度から関心をお持ちの方と私は理解しているし、ほとんどの方が放送法の存在、受信機を設置したら払わなければいけないということを理解していると思うが、一般には、特にNHKを見ない方は放送法の存在そのものを正しく理解していない可能性があるのではないかとこの場で感じた。

【会場参加者】
 PRも必要でしょうが、主体的に動くことが私は必要だと思う。NHKにどんどん電話すればいいと思う。こういう場だけでなく、電話でもいろいろな意見を聞いてくれる。そういう主体性を一人一人が持たないと国民主権というのがきちんと行使できないのではないか。
 国民一人一人がNHKを厳しい目で見る一方、自分自身も厳しく律するということがとても大事なのではないか、責任は国民一人一人にも問われるのではないかと思う。

【会場参加者】
 受信料を払わないという人の知識がやはり影響してくると思う。昔の愛宕山での放送の第一歩にかけた開発費用は莫大なもの。技術開発にはものすごく苦労している。赤城山の中継所に東京タワーから大容量の電波を送るわけで、その技術たるや大変なもの。その費用を考えたら、払う、払わないではないと思う。民放でもその技術を利用しているわけで、そういうことを考えずに、見る、見ないや自分の経済面だけを考えて、ただ反対して、払いたくないという人がいっぱいいる。違うと思う。NHKの開発した放送技術は、我々のつくった宝、日本の宝だ。

(小川局長)
 今年9月に都道府県別の推計の世帯支払率というのをNHKは公表しました。これは新聞記事にもなりましたので、多くの方はご存じかと思います。先ほど、契約は世帯と事業所に分かれると申しましたが、事業所の場合、対象となる設置台数を推計するのが大変難しいので、今回は世帯の支払率を調査し、結果を公表しました。
 平成23年度末、平成24年3月末時点の支払率は全国で72.5%です。群馬県は81.0%。全国に比べて8.5ポイントほど高い値です。推計されている群馬県の対象世帯数は67万世帯で、お支払いいただいている世帯数が55万世帯です。80%を超えており、全国的に見れば高いといえます。

(久保田理事・技師長)
 放送に当たって技術開発が大変重要だということをお話しいただき、本当にありがとうございます。技術を担当する者としてこれほどうれしい言葉はありません。開発はおっしゃるとおりお金もかかります。ただ、いくら使っていいということではないと私たちも理解しており、合理的なお金の使い方をする最大限の努力はしています。
 先ほどから受信料のことで放送法の話が出ておりますけれども、放送のために技術開発をするということは、NHKのやらなければならない業務として、これも放送法に「放送及びその受信の進歩発達に必要な調査研究を行うこと」と書かれております。ですから、NHKがラジオ放送を始めた1925年以来、ずっと開発を続けています。例えばハイビジョン、衛星放送、デジタル放送などはNHKが中心になって開発したもので、それらすべての技術開発の原資は受信料であります。

【会場参加者】
 テレビを見たら、パラボラアンテナの色が変わるとか、光るようにしたらどうか。外から見て、あそこの家はNHKを見ている、いつも受信料を払わないと言っている家のアンテナが光っているじゃないか、というのはどうか。研究したらいいのではないか。

(久保田理事・技師長)
 大変面白いアイデアです。実はNHKの営業担当が伺ったときに、テレビがあるにもかかわらず、「ない」とおっしゃる方はいらっしゃいます。そうした時、パラボラアンテナの色はともかくとして、何か機械があって、テレビ有のほうに光るとか、そうしたものがあればどんなにいいかと私たちは思うのですが、そうした機械を開発するのは技術的に難しいです。
 正直に申し上げますと、真面目に考えたこともあります。ただ、大変難しいということで、今はそのような研究はしていません。

【会場参加者】
 受信料と技術開発費の割合を教えてもらいたい。技術開発費は受信料でどのくらい賄っているのか。

【会場参加者】
 技術というのはメーカーとタイアップでやっているわけです。NHKはメーカーではないので。通信機器メーカーや電機メーカー、民放も加わって、みんなで開発してきた。それが雇用も生んでいるわけです。だから、どこに費用をかけているのかということは、雇用を生んでいる以上、計算できないと思う。日本を支えているようなものです。

(久保田理事・技師長)
 技術開発にどれくらい受信料からお金を使っているかというご質問ですが、24年度の予算で申し上げますと、事業支出の総額6,489億円のうち技術関係の調査研究費は74.4億円ということになっております。
 また、メーカーと共同でやっているというお話がありましたが、そのとおりです。NHKはメーカーではありませんので、放送技術研究所でも手作りの装置みたいなものは作ることができますが、実際にスタジオで使うカメラやスカイツリーに置いてある放送装置などは作ることができません。したがってメーカーと一緒に開発をして、実用化するということをしています。
 また、開発をすると特許を取得します。NHKだけで開発をすればNHKの特許になりますし、メーカーと共同で開発をすれば、一定割合で特許権を持ち合います。その特許を外国企業や日本のほかのメーカーが使用すれば、特許使用料がNHKとメーカーに入ってきます。そのようなこともしながら、開発した技術の移転をしています。

【会場参加者】
 本日は71年前に起きた太平洋戦争開戦の日に当たるのだが、この戦争が始まった翌年、既に東京、名古屋、大阪に空襲があったという事実をアメリカの資料で私は理解した。日本の報道機関は一切これを報道せず、その写真報道すらないので、それが事実なのか、いまだにわからない。
 こうしたことを鑑みると、国民の一人として情けなかったという反省も含めて、権力機構に報道規制をかけられると、真実が伝わらないと理解せざるを得ない。報道機関は反省して、そのようなことが今後はないよう努力して欲しい。これは国民全員の責任だと、常々思う。

(木田理事)
 私自身はその事実を知りませんが、持ち帰って担当の部署に今のお話をさせていただき、調べるように伝えます。
 戦前のことはわかりませんが、戦後は、国から、あるいはアメリカから報道規制をかけられて、知っていたけれども報道しなかったということは一切ありません。

(大滝委員)
 今、ご指摘のあった点は、実際にそのことがあったかどうかということよりも、むしろ公共放送としてどういう姿勢でNHKが報道するのかというお問い合わせだったと思います。基本的には木田理事が答えたことだと私も思いますが、NHKの職員一人一人がやはり報道に対するしっかりとした姿勢とか倫理を持つことだと思います。
 先ほど来、受信料の話が出ていますが、なぜ受信料を国が集めて税金という形でNHKに投入しないのかということの1つとして、国家権力と放送のあり方をダイレクトに結びつけることはやるべきではないという放送法の趣旨、姿勢とその問題が絡んでいるからだと思います。ですから、国の意向によってNHKが放送する内容がどんどん変わっていくのではなく、あくまでも報道の姿勢、番組の編集権はNHKが持って、国家権力から一定の独立性を保つということも受信料の考え方の中にはあるということもぜひ皆様にご理解いただきたいと思います。

 

 

第2のテーマ:放送について

【会場参加者】
 2つある。1つは『ダーウィンが来た』という番組でレッサーパンダを取り扱った中で食性を示すものとしてキバの有無の説明があり、「これが進化の証拠なのです」というナレーションが入った。これには証拠がないし、誰も証明してないのに、「証拠なのです」という断定した言い方は、放送法違反にならないのか。ねつ造とか歪曲にならないのか。
 もう1つは、BSで台湾の高砂族の人を扱った番組があったが、「当時、台湾の9割が中国人だった」ととれることを言っている。しかし2001年に日本の東大と日赤と台湾のマカイ病院がRHAという血液の白血球の検査を行い、台湾の人たちは85%がマレー、ポリネシア系だと判定している。なぜそれを言わずに、「台湾は中国人の島だ」というようなことを言うのか。
 この意見をコールセンターにメールで送ったら「学会で一般的に使われている」と言う。それで、「検証はしたのか」「検証したとしたら、どのようにしたのか」と聞いても同じ答えが繰り返し返ってくる。のらりくらりかわすように、はっきりするとまずい理由でもあるかのように5回繰り返された。5回とも最後まで同じ答えで。そういう対応をされると受信料を払いたくなくなる。ばかにされているのかと思う。観念的なものを断定的に語ったりするのは絶対にやめていただきたい。

(木田理事)
 私はその両方の番組について、どのような意見のやりとりがあったのかについて詳細を把握していませんので、内容についてはここで立ち入ることはできませんが、NHKの放送全体として言えることは、正確な取材に基づいて放送するというのが第一の原則です。世界中の研究者に当たればいろいろな学説があると思いますが、一般的にそれぞれの学会、研究分野について現在はこれが妥当ではないかと言われるところに基づいて放送しております。どうしても意見が分かれることについては、違う学説もあるということをその番組の中で紹介するように努めております。担当部局での対応に失礼な点があったといたしましたら、この場でお詫びしたいと思います。

【会場参加者】
 先ほど、今後の事業収入、事業支出の見込みの説明があったが、技術開発費に関することで、例えば平成25年、26年になったとき、この放送とパソコンがどのように展開されていくと想定した収支予算になっているのか。

(久保田理事・技師長)
 平成25年、26年に放送と通信がどういう形になっているのかという、ご質問だと思います。放送が完全にデジタル化された一方で、通信ではインターネットの普及が急速に進んでいますし、スマートフォン、タブレットと呼ばれるようなものも普及しています。ですから、来年度、再来年度はそうしたものと連携したサービスが始まると思います。
 放送と通信が連携した新しいサービスが生まれるというのは、私の記憶では15年ぐらい前から言われているのですが、なかなかうまいものが出てきませんでした。しかし、技術的な環境や社会的な環境も成熟してきていますので、そうしたサービスが出てくると思いますし、NHKでも準備を進めています。
 収入をどう考えているかというご質問ですが、やはり受信料が基本だと考えていますので、新しい、通信と連携したサービスを提供する場合も、まずは受信料で対応していくことになると思います。

【会場参加者】
 放送と通信の規制はかなり異なっている。放送の場合にはいろいろなことが配慮されていると思うが、通信のほうは非常にいい加減なので、規制というか、社会的な拘束といったものを考えていく必要があるのではないか。NHKとしてはどう考えているか。

(大滝委員)
 3か年計画の中にも放送と通信の融合については盛り込まれています。もともとNHKはテレビ、ラジオの放送でずっと活動してきたのですが、最近は先ほどから出ているようにパソコン、ワンセグ、スマートフォンなどのメディアを使った放送番組の提供がどんどん広がっています。
 ただし、今の放送法の枠組みの中ではインターネットを利用した放送番組の提供などに対しては大変厳しい制約があります。そうしたことも踏まえて、経営委員会では今後どのように進めるべきか検討しています。執行部と意見交換をしたり、勉強会を開いたり、総務省とも意見交換をしました。
 しかし、これはNHKだけでは進められないことが多く、放送法との関係もありますので、さまざまなことを視野に入れて、経営委員会でも検討しています。

【会場参加者】
 この会合に参加することを知人、友人に話したら、尋ねて欲しいと頼まれた。先ほど木田理事がNHKのホームページをご覧になってくださいと力説していたが、地方は高齢化しており、パソコンを持っていない人や、操作できない人が数多くいる。言わんとしていることもよく理解できるが、なんでもホームページというのは、少し抑えてもらいたい。
 民放のテレビやラジオを見たり聞いたりしていても、地震があると、すぐNHKへチャンネルを切り替える。先ほどからいろいろな意見が出ているが、大半はNHKを信頼しているので、きちんとやってもらいたい。

【会場参加者】
 主人は脊椎外科医なのだが、仕事で来られなかったので私が聞く。以前、『ためしてガッテン』で、腰痛の85%が原因不明でその多くが脳から来ていると断定的に言っていたが、85%が原因不明とかではないし、脳からというのもどうなのか。実際に出演していたお医者さんに診てもらっていた患者さんが、脳から来ているという診断で精神安定剤などいろいろな薬を飲んで意識朦朧とした状態になったので、主人のところに来て、薬をやめたら、普通に生活できるようになった。検査したら原因がわかり手術して腰痛も治った。先ほど学会で大体中心になっているようなことで放送しているという話があったが、その先生は学会ではメインではないとのこと。『ためしてガッテン』はみんな信じて、私も好きでいつも見ている。影響力はものすごく大きいと思う。ある大学病院のお医者さんは、取材されたけど、自分の思ったこととは違う放送をされた。抗議したが、返事がなかったという話もある。取材の仕方はどうなっているのか。

【会場参加者】
 今日、ここに来る前に、周りの人に、最近テレビをどう思うかと聞いたら、とにかく最近のテレビはつまらないと言う。
 民放の悪口になるが、コマーシャル、その次はお笑い芸人、その次は殺人。業界で反省してもらいたい。NHKも21時のニュースを見るぐらいで、あとは韓国ドラマばかり見ている。映像がきれいだし、家族愛、恋愛など人間の愛情そういうものが非常に強調されている。日本も昔はいいドラマがあった。NHKはスタッフも多いのだから、もう少し取材して韓国ドラマを参考にしながら頑張ってもらいたい。

(木田理事)
 ホームページの件は力説して申し訳ありません。つけ加えればよかったのですが、ホームページを見られない方が全国にたくさんいらっしゃるということは十分承知しています。ただ、非常に細かい資料、経営に関する資料などをじっくり読んでいただくには、ベストだとは思っていませんけども、ベターな方法であるため、つい力が入ってしまいました。
 『ためしてガッテン』ですが、具体例についての詳細は私も知りませんでしたが、『ためしてガッテン』は放送後いろいろなご意見をいただくことの非常に多い番組の1つです。と申しますのは、先ほど確かに学会で一般的にと言いましたけれども、事柄によってはやはりいろいろな意見があって、どれが一番メインなのか検証が続いていることもあります。『ためしてガッテン』は、1回の放送を担当するディレクターが、ほぼ3カ月から4カ月の時間をかけて番組を制作しています。外国の文献も含めてできる限り文献を調べ、研究者にも当たれるだけ当たっています。それでも意見が違ったりすると、企画の途中で断念しています。番組制作者サイドとしては、調べられることは全部調べて、ある程度の条件をつけて放送に出しています。『ためしてガッテン』だけではなくて、ほかの番組でも特に、食、健康にかかわるものについては慎重に扱っております。
 業界全体、テレビ業界全体で面白い番組がないというご意見についてです。放送業界がつくったBPOという第三者機関があります。NHK、民放にかかわらず放送した番組を検証して間違いや行き過ぎがなかったか、全体の傾向はどうなっているのかという調査をする組織です。先ほど「殺人ばかり」というお話がありましたが、青少年に与える影響は一体どうなっているのかという調査もしています。そうしたところからテレビ、ラジオ、放送全体が少しでも質的に向上を図れればよいと思っています。
 NHKのドラマは「殺人ばかり」というわけではないと思いますが、これについては「頑張ります」としか言えませんので、これからも見ていただき、少しでもお気持ちに応えられればと思います。

【会場参加者】
 昨日たまたま17時から民放のニュースを見ていたら、地震情報が出たので、即、NHKに変えた。理由は簡単で、やはりNHKの情報提供が一番迅速、かつ正確であり、信頼しているからだ。先ほどからいろいろと議論があるが、私は受信料の一部はその情報提供料だと理解している。NHKもそう考える視聴者が全国に多いことを意識して、ネットワークを活用した正確で信頼できる情報を提供する努力をお願いしたい。
 もう一つ、私も60代だが、最近のテレビは見る番組がなくなってきたというのが正直なところ。まだNHKは救われる部分があり、第一線を退いてからNHKの番組を見ることが非常に多くなった。我々の世代にとって見るべき番組が幾つかあるかなと思う。
 NHKが番組を編成するのには、どの世代をターゲットに編成するのかということを一生懸命考えていると思うが、NHKが迷走しているなと思うのは、『紅白歌合戦』。視聴率云々でいつも騒がれているが、そろそろ考え方を変える時期に来たのかなと思う。私の母親は今85歳で『紅白歌合戦』は大好きだが、前半は全く見ないで寝ている。後半になったら起こしてくれということで楽しく見ているが、後半になると眠い。あの番組は、10代から80代まで見ているわけだから、1つの番組に納めるのは無理ではないか。10代向けの紅白は30日に、シニア向けには31日ということで、2部制にしたらもっと視聴率も上がると思う。ぜひご検討いただきたい。

【会場参加者】
 小川局長に伺いたい。現在、群馬県は富岡製糸場の世界遺産登録に向けて広報活動をしており、私は、製糸場のガイドをやっている。
 2007年4月にNHK前橋放送局が制作した『小さな旅』の「誇らしくたたずむ〜群馬 富岡製糸場」という番組を放送したと思うが、特に県民の方に知っていただきたいので、再放送をお願いしたい。

【会場参加者】
 来年の大河ドラマ『八重の桜』の主人公の夫である新島襄が群馬県出身ということで大変関心を持っている。今年の大河ドラマは、せっかくデジタル化されたのに、画面がほこりっぽかった。当時はほこりっぽかったということで、制作者、演出者の意図があるのかもしれないが。『龍馬伝』も香川照之さんの役などは見るに堪えない映像だった。果たして『八重の桜』はどうか。時代考証はほどほどにお願いしたい。

【会場参加者】
 私はラジオが好きで、よく聞いているのだが、最近は若い人に媚びていると感じる。昔は音だけでも自分が参加しているように感じ、あれこれ想像できたが今は、出演者がキャーキャー喜んでいる番組が多く、これがNHKなのかと残念だ。ラジオ番組も力を入れて制作していただきたい。
 『ダーウィンが来た』、『世界地球紀行』など自然を対象にした番組では、民放のカメラが入らないような場所の映像を克明に映し出す技術はNHKでなければできないものだと思うので、ぜひ継続していただきたい。
 ドラマ『薄桜記』は好きで毎週見ている。大河ドラマは面白くないので、質を上げていただきたい。
 最後に、もうすぐ衆議院議員選挙だが、選挙報道で民放はわけのわからないコメンテーターが騒ぐが、NHKはそうしたことをせず、正確で確かな情報を提供する番組、報道、ニュースをお願いしたい。

【会場参加者】
 今の大河ドラマはなぜ視聴率が上がらないのか。先ほども意見があった『薄桜記』のような本当に素晴らしいドラマを放送すれば、当然大河ドラマも視聴率が上がると思うのに、映像が汚くて、本当にがっかりしている。私もこれは見るに堪えない番組ということでやめた。
 ラジオはもう60年間聞いているが、夜の番組は聞くに堪えないので、ぜひ是正していただきたい。聞き終わった後、「ああ、よかったな」という番組をつくってもらいたい。芸能人が面白おかしく話し、自分たちが面白ければよいというような番組づくりは公共放送なのでやめてほしい。
 また、番組の途中に交通情報を入れる時、音楽を流した途端に交通情報が始まり、音楽が途切れてしまうことがある。音楽を期待している者にとってはひどい話だ。交通情報は交通情報、終わったら音楽を流して欲しい。
 最後にテレビについて1点、ぜひ直していただきたいのは、時刻表示が画面の左下にあるため、そこにかかる文字が見えなくなってしまう。
 以上の意見は20人ほどからいろいろ聞いたもの。個人的な話ではないので、ぜひ検討してもらいたい。

【会場参加者】
 2012年10月23日の読売新聞の紙面に「収入確保へNHK模索」という見出しで、大きく特集が組まれている。徳島でのこの会合で、番組の民放化、タレント出演者が多いという意見をかなり強い口調で訴えた女性がいたと書いてある。民放化、悪く言えば、民放の真似をしているのではないか。特に23時以降は、若者に媚びるような番組が増えている。NHK倫理行動憲章がホームページで紹介されているが、すべての番組が自信を持ってこれに合致していると言えるのか。踏み外しているものがあるのではないか。
 また、海外から英語の教師が短期で来日した時、「日本は先進国だからもう少しテレビ番組の質が高いと思った。欧米が堕落した10年前の姿に非常によく似ている」と言っていたと息子から聞いた。その指摘の大半は民放だと理解するが、NHKも民放に負けないような質の下げたものをやっていることに私は非常に憤りを感じる。
 NHKはこういう要望があるからこうしよう、若い人に受けるからやってみようというのは、公共放送としてやってはいけないものだと思う。一線を崩してはいけないレベルがあり、主体性を持たなかったら公共放送とはいえない。そういうものに手を染めた時点で私は限りなくNHKの存在感は失われていくと考える。この記事にもEテレに変えた途端、バラエティまがいになったという反省が内部にもあり、見直すと書いてある。この記事が事実だとすればだが。
 最後に1点、知人から依頼されたのだが、ケーブルテレビ会社との契約でオンデマンドを利用しているが、放送された内容が一部カットされている番組があるので、どうにかならないのかとのこと。

(木田理事)
 災害報道は信頼しているので、これからも頑張ってほしいというご意見がありました。今、NHKが課題と考えているのは、今後NHKを見る人が減った場合、日頃チャンネルをNHKに合わせる習慣がないと災害報道も見てもらえないということです。今は、皆さん災害が起きたときには、すぐにNHKに合わせてくれますが、これは視聴習慣、NHKを見る習慣があるからではないかと思っています。5年先6年先という短期間ではなく、もっと先の話として我々はこの信頼を維持していくため、NHKは必要だと思ってもらうためにも、日頃からNHKの番組を見ていただきたいと思っています。
 『紅白歌合戦』につきまして、大変素晴らしいご意見をいただきました。その実現については難しい問題もありますが、いただいたアイデアとして制作現場に伝えたいと思います。
 また、『平清盛』について、画面が汚いというご批判をたくさんいただきました。ただ、一方で、逆にあの画面を評価していただいている方も全国にはいらっしゃいます。特にドラマのような番組は、いい悪いということについてなかなか一つの判断ではできません。ただ、結果として視聴率がここ数年の大河ドラマの中ではよくないのは確かです。これは見ていただく方の数が少ないという紛れもない事実でありますので、これからの制作の参考にさせていただきたいと思っています。
 ラジオ第一放送の土曜日と日曜日の夜9時から11時半は高校生を対象にした番組を制作しています。かつては深夜放送を聞きながら勉強していたりして、若い人もラジオと接する機会が多かったのですが、今の若い方はほとんどラジオと接点がないのが実情です。これではラジオというメディアの有用性が社会的に消えてしまうのではないかという恐れがあります。この時間、ラジオは面白いという反応がありますし、身近に語りかけるという魅力が若い人に伝わり始めています。申し訳ないのですが、この時間帯は若い人たちに向けた番組を制作させていただきたいというのが編成の考え方です。
 選挙につきましては、NHKの場合、早い遅いというよりもまず正確さが第一です。ここに仕事のプライドをかけているともいえます。正確さを最優先に報道したいと思っています。
 それから、ラジオの交通情報に音楽が流れるのは、放送する地域によっては交通情報をしていないところがあるからです。交通情報をやらない地域は音楽だけ聞こえています。そうしないと、音声が全く出ないことになりますので、やむを得ない措置だとご理解いただきたく思います。
 左下に時計が出ているというご意見ですが、NHKは左上に出しています。テレビの設定として時計表示の出るものがありますので、リモコンボタンの表示機能を操作いただくとなくなるのではないかと思います。NHKは左上でスーパーとは重ならないように考えています。
 新聞記事のご意見ですが、NHKは民放と張り合おうとしているわけではありません。視聴率で勝とうと思っているわけでもありません。これはひとえにNHKを見る人を確保したい、NHKを見る人を増やしたいということです。増やしたいというのは、実は減っているからです。年配の方はあまり減っていないのですが、50代、40代の人たち、社会で働いている方の大半の人たちにNHK、特に総合テレビを見ていただく時間が、調査によれば明らかに減ってきています。視聴者の皆さんが民放を含めてテレビを見ている時間はこの20年ぐらいあまり変わっていません。ですので、やはりNHKを見ていただかないと信頼されなくなるかもしれない、災害情報で役に立たなくなるかもしれないという恐れが我々にはあります。NHKを見ていない人たちにどうやって見てもらうようにするかという努力はここ7、8年ずっと続けております。ただし、その方法に問題点があるのではないかというご意見につきましては、謙虚に受け止めて試行錯誤していきたいと思います。
 Eテレの見直しをするといいますのは、Eテレならではの文化、教養、芸術関係の番組などをもっと増やしたらどうかということです。実際、見る人は多くないかもしれませんが、そうした番組を衛星放送だけではなく、Eテレでも編成できないだろうか思っています。これは若い世代に向けてという考え方とはまた違う発想です。
 映像4波、音声3波を使い、いろいろな工夫でNHKを見ていただきたい、使っていただきたいという事に心を砕いています。しかし、結果として随分違うではないか、言っていることと放送が違うではないかという点が皆様お一人一人にあると思います。我々としましては、本日お伺いしたさまざまなご意見を現場に持ち帰りまして、今後ともブラッシュアップし、番組の質をよくするために使わせていただきたいと思います。

【会場参加者】
 日本語で「教育」という立派な2文字、誰が聞いてもわかる、理解できる言葉から「Eテレ」に変えるのを知り、私は、コールセンターに電話した。そのときの説明は納得のできる説明ではなかった。私はそのときに、多分、夜遅くバラエティを放送したいのではないかと思った。そのために、教育という文字が邪魔だったのではないかと。結果、そうなった。だから、私は今の説明に正直納得していない。深夜の教育テレビに、教育と言えない番組があるのではないか。新聞記事に内部批判があって変えようとしているとあるが、内部批判があっただけ救われると思うが。

(小川局長)
 来年、前橋局は開局80周年です。それを記念して過去の群馬県を取り扱った番組のアンコール放送の編成を今考えています。先ほどご意見のあった富岡製糸場の『小さな旅』についてもリストアップして、検討したいと思います。

(司会)
 皆さん、活発なご意見をいただきましてありがとうございました。
 最後になりますが、この会全体を通しての感想を石原委員に代表してお願いします。

(石原委員)
 本日はありがとうございました。私はあまり発言できず、聞き役になっていましたが、大変に勉強になりました。受信料を払っていない人がいるという不公平さについてはこの会合でお邪魔すると必ずご意見いただきます。これはNHKにとって最も重要な経営の問題であると同時に、視聴者の皆様から信頼を得るために最も大事だと思っています。視聴者がもっと理解できるようにPRをしっかりやれというご意見、そのとおりです。今後、公平に負担していただくためより一層の努力をしなければならないと感じました。
 『ためしてガッテン』、『ダーウィンが来た』、具体的な事例が出ました。先ほど、木田理事から話がありましたように、取材はしっかりやっていると思いますが、やはり信頼のNHKですから、より一層心して番組づくりをしていかなければいけないと感じました。
 若い世代に関するお話、これもNHKにとって非常に重要な課題だと思っています。視聴率を気にしているわけではないですが、やはりNHKを信頼して見ている、NHKが好きだという人が多くいることが、NHKを受信料制度で成り立たせるためには非常に大事です。50代以下の世代のテレビの見方が変わってきているのは事実です。今日ご意見をいただいた皆様と私は同じ世代ということもあり、内心、非常に賛同するところがあり、「何でこんな番組をやっているのだろう」と思うのですが、逆に若い人たちがNHKを見ると、我々の好きな番組を見て「何でこんな番組をやっているのか」と思っているかもしれません。
 若い人たちに見ていただくため、いろいろ試行錯誤する必要はあると思いますが、見てよかった、記憶に残る番組をつくる努力はNHKの原点であり、最も重要なことだと思っています。
 本日は主な感想として3つ挙げさせていただきましたが、その他にも大変参考になるご意見をありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。

 

 

 

<視聴者のみなさまと語る会in前橋>参加者当日アンケート

※全表の単位はすべて人数

質問1:性別

男 性 女 性 未回答
20 6 4

質問2:年齢

10代 20代 30代 40代 50代 60代 70 未回答
0 0 2 2 4 12 8 2

質問3:今回のイベントを何でお知りになりましたか(複数回答)

放送(テレビ) 放送(ラジオ) ホームページ 知人 その他
23 0 10 1 0

質問4:今回のイベントに参加していかがでしたか

大変満足 満足 ふつう 不満 大変不満 未回答
10 13 3 1 1 2

質問5:一番印象に残ったコーナーはどこでしたか(複数回答)

経営重要事項 経営など全般 放送について 講演会 特になし 未回答
3 9 15 1 0 5

質問6:NHK経営委員会の仕事を知っていましたか

よく知っていた 知っていた 知らなかった その他
3 16 10 1

質問7:今回のイベントに参加して、NHK経営委員会の活動について理解が深まりましたか

理解が深まった 特に変わらない わからない その他 未回答
21 6 2 0 1

 

 

<アンケートに寄せられた主なご意見>

 

経営について

  • 放送受信料の不公平化だけは、特に改善をお願いしたい。
  • 受信料について 放送法に関わるのでしょうか?電器・通信機の購入時に徴収手続きできないですか?
  • BBCなどを見ていると、インターネットとの融合が進んでいるように思います。また、ウェールズ語での放送などもある。技術の進歩に是非(ますます)チャレンジし、経費はケチらないで開発して欲しい。それを地域の文化づくり、ネットワークづくりにも活用して欲しい。
  • NHKオンデマンドの料金をもう少し安くしてほしい。

 

放送について

  • 「地球ラジオ」はとってもすばらしい番組です。NHKでないとできない、オンリーワンの番組ですので、これからもずっと幸せ、きっと幸せの精神で、いつもの笑顔で続けてください。宜しくお願いします。
  • 「みんなのうた」も好きです。テレビ、ラジオそれぞれで放送されていて、よいです。
  • 童謡をベースにした歌番組も、子供たちや父母たち、祖父母たち、日本国民の心を一つにできる、すばらしい番組になると思います。
  • かわいい子供たちのため、心をつくした真の報道(放送)に心より期待しています。宜しくお願い致します。
  • 公共放送(命を守る)NHK5月7日(金)午後5時に帰宅してテレビをつけた。民放に緊急地震情報「安全な場所に身を確保してください」の表示がでる。直ちにNHKに切り替えるも通常放送。2〜3秒後、地震の揺れがくる。NHKも地震速報を出す。民放より、NHKの地震速報が遅いのはなぜか?改善を願う。
  • 紅白歌合戦と同様、ドラマも軽いもの重厚なものに分ける。
  • 基本的な事を1つ。アナウンサーの方の敬語の使い方がとても気になっています。特に、皇室関係の事等、正しく伝えて欲しいと思います。ラジオ等の場合、画面がないわけですから。例えば「声を掛けられた」と受け身にもとれる場合があります。よく聞く言葉です。民放よりも質を求められると思いますので、勉強して頂きたいと思い案素。先の例は、「声をお掛けになった」又は「声を掛けていらした」ではないかと思いますが。
  • 国民が自分の意見をまとめていく流れの中、NHKの役割はとても大きい。そして、大切。
  • NHKの放送は、良書と同じように日本の文化の一つだと思う。歴史に残る番組を是非作り続けて欲しい。
  • ラジオ深夜便は高齢者の友。ますます増える年寄りのために、楽しい番組づくりをお願いします。
  • アナウンサー等出演者の服装には、もっとお金を使っても良いのではと思います。
  • ラジオ等の講義(講座だけでなく)もう少し宣伝しても良いのでは?(議事録など、良いものが沢山あります)
  • NHK大好きなので、耳の痛い話もあったかと思いますが、良くなって欲しいための言葉ですので、更なる躍進してほしいです。ドラマ、報道、ニュース、ドキュメンタリーはNHKらしい正確さ、公共性を保って、放送してください。来年の大河ドラマも期待していますし、震災(地震)の際は、命を守る、生活を守る、をモットーに迅速な報道してください。
  • NHKを民放化しないこと 独自な番組作り(重厚なもの、真実味のあふれたもの、感動的なもの、ためになるもの)を追い求めていってよいのでは?
  • NHKが若者向けになっているという意見があったが、例えば、女子アナ。キャスターがミニスカートや華美な服装、頭髪なども目立つので控えめにしてほしい。
  • 18:40〜19:00帯の群馬のローカル番組が新設されていて、喜んでいます。群馬県全域の取材を深めて頂いて、よりきめ細やかな県民活動(特に高齢者にやさしく、対応されている人たち)に是非スポットをあてていただきたいと思っています。群馬県民の特色でもあります“進取の精神”のところをうまくNHKに引き出してもらって、県民活動を盛り上げてください。ローカル放送に期待しています。
  • 私はグレートネイチャーやグレートサミッツなど、とても良い番組があると思います。
  • ラジオについて、毎日8:00〜12:00までの放送は、4月から替わりましたが、本当に聞きづらい番組になってしまい、残念です。もっと落ち着いた放送にして欲しいです。
  • 放送は中立的に報道することは当然ですが、アナウンサーの言葉づかいは常に気になっているので、方言はともかく、標準的なニュース番組の時には特にアクセントに注意するよう、研修して欲しい(放送全体については、質疑のとおりです)間違いやすい例として、雨⇔飴、柿⇔カキ(海のもの)等、以前森田アナが大変良かったので、出番が少ないのが残念ですが、久保田アナの出現で、ニュース番組は安心してみられるようになった。アナは原稿を正確に読む力を養ってほしいと考えます。
  • 幸田真音さんが委員に入っておられるなら、海外の市場についてアドバイスを頂きやすいし、早朝に番組を組んでいただくと年寄りには有難いのですが。他局(WBS)は夜遅くなので。
  • 夕方6:40ほっとぐんまには様々な場所が出てきます。最寄り駅、交通機関が添えられると良いと思います。合併で、市名、町名だけではわからなくなりました。
  • 皆さんの色々な意見が聞けて良かった。ニュースの報道基準を知りたい(フジテレビに対する8,000人のデモは出さないのに、天皇御在位20年の記念式典の日に、反天皇の数十人をニュースにするのはなぜか?)
  • 報道されない事は存在しないと同じになる。公平、公正、中立で事実・真実を伝えてほしい。
  • 「時報」のないのが大変気に入らない。
  • 時代物なのに、「バケツ」がキラキラ光りすぎている。新品か?
  • 「ら」抜き言葉が多い。多すぎる。
  • 「もの」を食べながら会話をするのはどうか。
  • Eテレもよい。
  • 韓国と中国のプロパガンダやめろ。
  • 反原発報道やめろ。

 

運営、その他について

  • せっかく書いた事前アンケートは何だったのかと思いました。
  • 年末の12月ではなく、せめて11月中に開催してください。陽が短いため。前橋だけでなく、高崎、太田でも実施してくださるよう、お願い致します。
  • 参加された経営委員、執行部の方々は大変真剣に対応されており、満足しました。更に、このような機会を設定されることに期待します。
  • 視聴者からの多岐にわたっての質問に対しての経営委員及びNHK執行部の皆さんからの回答には理解納得いたすことができました。ありがとうございました。
  • いろいろ意見が出るなぁと思って感心した。ただ、質問者の話が長いですね。もっと話を切っていいと思います。