デカ物語:カバ子が見た戦後 生涯つづる児童書に注目 58歳で天寿全う /岡山
毎日新聞 2013年05月17日 地方版
◇カバヤ食品、社名の由来
カバヤ食品(本社・北区)の社名の由来となったカバの「カバ子」の生涯をつづり、4月に出版された児童書「デカ物語 日本一長生きしたカバが見つめた半世紀」(あんずゆき著、くもん出版刊)が、岡山の戦後経済史を知る著書として注目を集めている。1470円。
カバヤ食品は終戦直後の1946年、「おとなしくて平和を愛する」イメージからカバを社名にし、空襲の焼け跡の中でキャラメルの製造を始めた。53年から54年にかけて、キャラメルの消費拡大のため、水槽を備えたトラックにカバを乗せて西日本を中心に販促キャンペーンを行った。
当時としては本物のカバをキャラクターに各地を巡るキャンペーンは珍しく、行く先々で子供たちが大喜びした。新商品の販促活動としては画期的で、岡山の企業を全国に広め、現在のキャンペーン活動の先駆けとなった。
「デカ物語」の前半は「カバ子」と宣伝活動を行った運転手の絆を軸に旅の様子が書かれ、後半は「デカ」と名前を変えて金沢動物園(現いしかわ動物園)で過ごし、2010年8月まで余生を過ごし、58歳で天寿を全うした様子が描かれている。【小園長治】