菅野　リンゴの涙　「奇跡のリンゴ」ロケ地・青森で試写会

　俳優阿部サダヲ（４３）の主演映画「奇跡のリンゴ」（６月８日公開、中村義洋監督）のロケ地、青森県弘前市のワーナーマイカル・シネマズ弘前で２１日、プレミア試写会が行われ、阿部と妻役の菅野美穂（３５）が登壇した。不可能といわれたリンゴの無農薬栽培を１１年かけて実現させ、映画のモデルになった同市のリンゴ農家木村秋則さん、美千子さん夫妻（ともに６３）も劇場で観賞。上映後、菅野は美千子さんに花束を渡すと、感極まって大粒の涙を流した。

　農薬散布のたびに体調を崩す妻のため、無謀な挑戦を続けた夫。極貧に耐えながら３人の娘を育て、夫が変人といわれても支えた続けた妻。その半生を演じた２人。涙する４人を、弘前の観客の温かい拍手が包んだ。

　木村さんは「あまりにも現実的で、まともに見ることができません。それほど阿部さんと菅野さんは、私と女房と同じことをやってくれた」と声を震わせた。「お父さん、ありがとう」と美千子さんが小声で告げるのを聞いて、菅野は涙が止まらない。「すいません、ちょっとしゃべれなくなって…」

　その後の会見で、阿部はしみじみと「言葉がなくても通じてる感じ。あこがれます」。４月に俳優堺雅人（３９）と結婚したばかりの菅野も「私も同じです。本当にすてき」とうなずいた。２人は木村さんのリンゴ園で記念植樹もした。５年後に実がなると聞いた菅野は「成長を見に来たい。名前をつけようかな」と喜んでいた。