新型ロケット 8月22日打ち上げへ5月21日 18時56分
12年ぶりに開発された国産の新型ロケット、イプシロンが、ことし8月22日に鹿児島県の内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられることになりました。
イプシロンは、JAXA=宇宙航空研究開発機構が、12年ぶりに開発した国産の新型ロケットで、高さ24メートル、直径2.5メートルと、日本の主力ロケットH2Aの半分程度の大きさです。
1段目に、日本の主力ロケット「H2A」の補助ロケットをそのまま使用するなど、既存の技術を組み合わせて使ったり、打ち上げの点検作業の一部をコンピューターで自動化することで、コストの削減や作業の効率化が図られています。
打ち上げ費用は、H2Aの3分の1近い38億円程度に抑える計画で、JAXAは衛星打ち上げビジネスでの国際競争力の向上を目指しています。
8月の打ち上げでは、惑星を観測するための望遠鏡を搭載した衛星を宇宙に運ぶ予定で、JAXAの森田泰弘プロジェクトマネージャーは、「イプシロンの技術はロケットの世界に革命をもたらすものであり、世界に先駆けて実現させたい」と話しています。
「イプシロン」とは
「イプシロン」は、JAXAが3年前から200億円余りをかけて開発した小型の固体燃料ロケットです。
高さ24メートル、直径2.5メートル、重さ91トンの3段式のロケットで、鹿児島県肝付町の内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられます。
打ち上げコストが高いことを理由に、7年前に廃止されたM5ロケットの技術を受け継ぐ一方で、1段目のロケットに、日本の主力ロケット「H2A」の補助ロケットをそのまま使用するなど、コストの削減が図られました。
また、発射管制のシステムは、イプシロンのために新たなものが開発されました。
ロケットを発射する際は、従来、ノウハウを持った技術者が地上の管制室で表示されるデータを監視し、異常を判断していました。
新しいシステムでは、これまで人が行っていた点検作業の一部をコンピューターに任せて自動化することで、人件費の圧縮と作業の効率化が図られました。
こうした新規開発の結果、イプシロンの打ち上げ費用は元のM5ロケットの半分の38億円程度に抑えられるということで、JAXAは今後、さらに改良を加え、4年後には30億円以下まで下げることを目指しています。
さらに、点検の自動化により、打ち上げまでにかかる時間も短くする計画で、発射台にロケットを設置してから打ち上げるまでの期間は、将来的にはM5ロケットの42日間から7日間に短縮されます。
イプシロンは小型ロケットのため、打ち上げ能力は、主力ロケット「H2A」の10分の1ほどですが、軽くて小さい人工衛星を、より安く、機動的に宇宙へ運ぶことで、H2Aとの役割分担を目指すことになります。
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