大阪市議会:市水道局と広域水道企業団の統合否決へ
毎日新聞 2013年05月21日 22時11分
大阪府内42市町村でつくる大阪広域水道企業団と大阪市水道局が統合するための関連議案について、大阪市議会は21日、「市民にメリットがない」などの理由で維新以外の4会派が反対し、否決することを決めた。24日の本会議で採決する。橋下徹市長は「二重行政の象徴」として府知事時代から統合協議を進めたが、破綻が決定的になった。市は今後、水道局の民営化に方針転換するかどうかを検討する。
橋下市長は記者団に「非常に残念だ。大阪全体の利益が市民の利益になるという認識を共有できなかった。議会の理解を得られる可能性がまだあるのか検討したい」と話した。
市と企業団は統合案で、(1)大阪市の5月議会で可決(2)今秋に他の42市町村議会で可決(3)来年度から新体制で事業開始−−と想定していたが、白紙に戻った。企業団の担当者は「大阪市議会が反対しているのは43市町村共通のルールで、これ以上修正しようがない」と説明している。
21日の市議会常任委員会では、43市町村のうち3分の2の賛成があれば水道料金を値上げできることなどに、懸念が相次いだ。大阪市は府内で2番目に料金が安く、公明市議は「市民にメリットがないばかりか、値上げのリスクを抱えることになる」と批判。自民、民主系、共産も反対を表明し、維新は態度を保留した。
水道統合が否決された場合の対応として、橋下市長は今年3月、「(水道事業の)民営化も有力な選択肢の一つ」と発言している。
府内の水道事業を統合する「府域一水道」は橋下市長が知事時代から重要政策に掲げていたが、2010年にも府・市で協議が決裂した。企業団トップの竹山修身・堺市長は「大阪市との統合は府域一水道への第一歩。意義を理解いただけず残念だ」とコメントした。【津久井達】