2013/05/21 ※サイトで読む 配信中止はこちらから
まぐJOURNAL
 2013年5月21日 (火曜日) 
まぐJOURNAL .
以前『金融経済まぐ』『まぐジャーナル』をお届けしていた皆様に
新しく生まれ変わった『金融経済まぐジャーナル』をお送りしております。
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[This week TOPICS]
◇colum1 山崎和邦「サプライズはなかった第三の矢」
◇colum2 今週のイエスノー世論
◇colum3 井沢元彦「中国共産党が戦争を挑発する意図」
◇colum4 三橋貴明「「デフレ脱却」はまだ達成されていない!」
 
 第三の矢となる経済成長戦略について一部発表があった。

 ここでは要点を述べたいと思う。

 一言で言えば、今までの経緯で期待されたことの範囲を出ず、サプライズは無い。

 「これで総動員と言えるか」という物足りなさもある。法人税などの「大胆改革の見送り」も残念だ。きっと、財務官僚に丸め込まれたか、と“邪推”してしまう。

 一方、設備投資を企業に促し年70兆円を呼び込む、というのはいい。これには御存知の通り乗数が掛かるから、GDPに1倍以上になって効く。その方向性については評価したい。「農家の所得10年倍増」の政策もいい。根拠があっての数値はないが「3倍増」も可能ではなかろうか。そのためには農業従事者と農水省が、「海外との競争を拒絶することで非効率を温存してきた」という自覚を持たせることが先決だ。

 TPP反対論者の言い分は皆、海外との競争を避けて、非効率のまま現状に安んじようとする敗北主義に見える。

 既報で述べたように、日本は農業だけがガラパゴス状態だ。農水省も農家も惰眠を貪って来た。自動車などは自由化の恐怖に追いかけられて、風雪に耐えて世界一になってしまった。半世紀前は通産省も聡明で、力が着くまで海外から関税で自動車産業を保護し、その間に中小規模の企業は大企業と合併させ(例えばニッサン・プリンス)、民間に無理もさせたが、力をつけさせて、自由化におびえていた自動車工業は世界一になり、逆に米国から陥れられるという水準まで進化してしまった。城山三郎著「官僚たちの夏」(元通産省事務次官がモデル)や「勝者は語らず」(日産自動車がモデル)の時代だった。半世紀前の工業界が、自由化に怯えながらどれだけ頑張って来たか、農業従事者と農水省は考えるべきだ。

 ところが農水省は自民党の集票マシンの農協に気を使って農業を「産業」にしなかった。

 このTPPをいい契機として考え直そう。筆者には小中学時代の友人や親戚に農家がいる。それらの皆がそろって敗北主義者であって、半世紀前の工業界の苦闘の歴史に学ぶ気がない。そこでただ、聞き覚えたTPP反対論を言っているだけだった。筆者が根気よく話したら、皆が分かってきて、かえって農協役員を説得し始めた。農水省がやっておくべきだった。

 それでは食の安全が保てない、などと聞きかじってきた断片を言ったから、「海外との競争に曝されたら、国際安全基準というものがあるはずだし、科学的根拠を楯にとって安全を確保できる」「食の安全は消費者が心配することだ。諸兄らは自分の所得3倍増を目指せ」「オランダのような農業大国を学ぶべし」と言えば、意外に素直に反応し行動化する。これらを農水省がやっておくべきだ。読者諸賢の中に農業従事者がおられたら、本稿を不快に思うだろうが、敗北主義に自ら陥っていないか自問してほしい。

 筆者の高校同級生で、北大で畜産を学び、イリノイ大学で学位を取って帰国した男が、世界有数の豪雪地(4〜5メートル積る)の長野県飯山市の耕作放棄地をタダ同然に入手し、高級和牛の牧場で成功し、本人も地域も財を成し、市長に推されて就任し、12年務めて地域も活性化した。当初我々は「アメリカ帰りが発狂したか」と冷笑して見ていた。この話は2月末頃、本稿で紹介した。

 またオランダは、国土は日本の四国くらいしかなく、人口は日本の1割強しかいないが、米国に次ぐ世界2番目の農業輸出国だ。日本の農業輸出はGDP500兆の国が0.45兆円しかない。ケタが違う。ミスタイプではない。事実だ。そして40万Haが耕作放棄地だ。東京都と大阪府を足した面積に等しい。これはもはや「産業」ではない。酷評すれば「趣味の家庭菜園」の範囲だ。これを「産業化」させるには、株式会社に農業経営をさせることであろう。

 「第3の矢」には「農業を成長産業に位置付ける」というから、その方向は評価するが、10年で所得3倍増、輸出は0.45兆円から2兆円位を目指せと言いたい。おそらく可能である。

 戦後の「農地改革」というGHQがやらせた荒療治の後、日本の農業は衰退し、農水省は惰眠を貪って来た。半世紀前に農水官僚を通産省に出向させて学ばせるべきだった。

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『山崎和邦の投機の流儀』05/19号より抜粋
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著者
山崎 和邦
慶應義塾大学経済学部卒。野村證券、三井ホームエンジニアリング社長を経て武蔵野学院大学名誉教授に就任。投資歴51年に及び野村証券時代の投資家の資金を運用から自己資金で金融資産までこなす。
 
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今週のイエスノー世論
日本の農業は成長産業になると思いますか?
“第三の矢”として成長が期待されている農業。
TPPの導入や規制緩和で、農業は成長産業になると思いますか?
 
【あなたの意見はどっち?】
Yes!  農業が日本の成長産業になると思う
No!  難しいと思う、その他
 
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前回の投票結果
円安問題 1ドル120円を突破するか?
海外では1ドル120円まで円安が進むのではと予想されています。そこで、みなさまに質問です。2015年までに1ドル120円を突破すると思いますか?
1ドル120円に達するだろう
Yes!43%(467票)
いや、手前で落ち着くだろう
No!57%(626票)
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 中国は日本にとっていかに危険な国家になりつつあるか、についてはこのコラムでも何度も警告した。

 まず問題なのは江沢民という元中国国家主席が在任中に始めた徹底的な反日教育、反日キャンペーンである。天安門事件で民主化が進めば自分たちの権力が危うくなると見た江をはじめとする中国共産党保守派は、教育とキャンペーンで徹底的に日本を「悪玉化」することで、いわば外に敵を作って共産党の批判や不満をかわそうとした。

 残念ながら日本は中国に対して莫大なODA援助をしながら、河野洋平などの親中反日派のマスコミ工作などもあって、この傾向に歯止めをかけることができず、結局中国の若者のほとんどがすべて反日派になるという、とんでもない結果を招いてしまった。

 これは実は中国にとってもとんでもないことで、中国指導部が少しでも日本と理性的な交渉を持とうとすると、逆に自国の若者に突き上げを食うという恐るべき構造ができてしまった。中国は共産主義国家でありながら、貧富の差は資本主義国よりもはるかに激しく、それに対する批判の自由は一切無い。これに対する庶民のフラストレーションは爆発寸前である。すでに小爆発ならあちこちでデモという形で起きている。いま中国共産党首脳部がいちばん恐れているのは、これらが1つにまとまって共産党政権打倒の方向へ向かうことだ。

 そしてそれを逸らすいちばんいい方法は、悪玉化に成功した日本と戦争することである。マスコミの中には、日本はアメリカ海軍のバックアップも受けられるし、旧式装備の中国海軍に負けるはずがない、だからそのことは抑止力となって(戦えば負けるから)戦争は起こらないという楽観的な見解もある。それは甘い見方だと私は思う。中国は負けたっていいのだ。負ければ戦死者も出るだろう。そうしたらその犠牲者を国家英雄に祀りあげて、「日本軍国主義あるいはアメリカ帝国主義への報復」をスローガンに国家をまとめていけばいいのだ。そして共産党の指導に文句を言う人間は「国賊」として葬り去ればいい 。$3$&$9$l$P6&;:E^$N;YG[$O$H$j$"$($:0BDj$9$k!#

 だから今中国はなんとか日本を挑発して、先に手を出させようとしている。日本が挑発に乗って手を出せば中国はすかさず「見ろ、やはり日本は軍国主義だ。それを打倒したのは中国共産党だ、だから中国共産党は正しいのだ」と大喜びするだろう。苦しいだろうが絶対挑発には乗ってはいけない 。

 それにしても橋下徹大阪市長、人間として信念を持つのは当然だが、政治家ならそれを他国に利用されないよう注意を払わねばいけない。その意味で今回の発言は時期的に見てオウンゴールだったと言わざるを得ない。

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『Weekly 井沢元彦の書かずにはいられない』05/15より抜粋
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井沢 元彦
井沢 元彦
早稲田大学法学部卒大正大学客員教授、日本推理作家協会常任理事。TBS報道局記者を経て作家に。著書に『言霊』など。
 
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おそらく世界で「飲料水を風呂の水につかっている国」はほかにないと言っていいのではないだろうか。アメリカでもヨーロッパでも水道の水が飲めるところもあるが、特に京都のように極上の──
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 今後の日本において最も注目を浴びるべき経済指標は、GDPデフレータである。何しろ、現政権は「デフレ脱却」を掲げているわけだ。例えば、実質GDPが4%の成長を達成したとしても、GDPデフレータが100を切りで、名目GDPが実質値ほど成長していない場合、これは「デフレ脱却をしていない」という話になる。

 この場合、たとえ経済成長率が高まったとしても、政権の目標である「デフレ脱却」は達成されていないことになるわけだ。

 現在の日本銀行は、インフレ目標2%を掲げている。日銀のインフレ目標におけるインフレ率とはコアCPI(生鮮食品を除いた総合)であり、GDPデフレータではない。筆者は実は、インフレ目標の「インフレ率」には、GDPデフレータを使用するべきと考えている(せめてコアコアCPIだが)。理由は、GDPデフレータの変動が日本国内の失業率と強い相関関係があるためである。

 【日本のフィリップス曲線81年−10年(インフレ率=GDPデフレータの場合)】


 GDPデフレータでインフレ率を見ると、マイナス(デフレ)になっている時期には失業率が高い。GDPデフレータがプラス化していくと、失業率は落ちてくる。完全なフィリップス曲線が成立している。もちろん、CPI等の指標をインフレ率に使っても、一応、日本は綺麗なフィリップス曲線が成立している。とはいえ、GDPデフレータほど「美しい曲線」にはならない。

 改めてGDPデフレータを定義すると、名目GDPから実質GDPを算出するために用いられる物価指数となる。計算式は、以下の通りだ。

 GDPデフレータ=名目GDP÷実質GDP*100

 例えば、名目GDPが101、実質GDPが100の場合、GDPデU%l!<%?$O!V101÷100*100」で101になるわけだ。GDPデフレータが100を上回っている場合、物価が上昇していると判断できる。

 とはいえ、現実の統計は、名目GDPを101として把握し、物価水準の動向を調べ、GDPデフレータ101を設定した上で、実質GDPを計算で弾き出している。

 実質GDP=名目GDP(101)÷GDPデフレータ(101)*100=100というわけだ。

 物価上昇率が1%、すなわちGDPデフレータ101であることを先に調査、把握した上で、実質GDPを計算するのである。

 2013年第一四半期の実質GDP成長率(対前期比)は0.9%、名目GDPは0.4%の成長だった。前記のGDPを共に100と置くと、

実質GDP=1.009
名目GDP=1.004

 となる。すなわち、GDPデフレータは「=1.004÷1.009*100」となり、99.5となる。GDPデフレータが100を下回っているということは、すなわちデフレ継続だ。

 さて、内閣府は現在、GDPデフレータについて毎年物価の基準年を更新し、その時点の値を測っている。この方式を「連載方式」と呼ぶ。

 04年以前の内閣府は、GDPデフレータ算定時に基準年を固定し、「その年から見て、今年の物価は何%変動したか」という、固定基準年方式を採用していた。固定基準年方式では、物価の下落が過大に評価され、実勢値よりもGDPデフレータが低めに出る傾向があり、04年に連鎖方式に改められたのである。

 現在のGDPデフレータの値は、各年、各四半期共に、「一年前と比べて、物価がどのように変動したか」を示していることになる。

 さらに、内閣府はGDPデフレータについて、対前年比の値を統計データとして公表している。一年前と比べ、GDPデフレータがいかに変動したか、である。

 本数値がプラスになっていれば、物価は「上昇の方向」に進んでいることになる。逆にマイナスになっていれば、物価は「下落の方向」であることを示しているわけだ。(注:必ずしも「物価が上昇している」あるいは「物価が下落している」を示すわけではない。物価の下落率の縮小も「物価は上昇の方向」の意味になる)

【図 日本のGDPデフレータと国内需要デフレータ(単位:%)】


 上図は日本のGDPデフレータと国内需要デフレータ(次週のテーマ)をグラフ化したものだ。

 08年から09年にかけ、GDPデフレータの対前年比が(わずかながら)プラスになっているが、これは別に同時期の我が国の物価が上昇していたことを意味しない(しているケースもあるが)。実際の同時期のGDPデフレータを見ると、相変わらず毎四半期共に100を下回っている。というよりも、我が国の四半期ベースで見たGDPデフレータは、06年以降、一度も100を上回ったことがないのである。すなわち、デフレ継続だ。

 08年から09年にかけたGDPデフレータ「対前年比」のプラス化は、単に、「物価は下落を続けているが、下落幅が縮小し、上昇の方向に向かった」という現象を意味しているに過ぎないわけである。

 GDPデフレータは、値が100を下回っていた場合、直近で物価が下落していることを示す。さらに、対前年比の値がマイナスになっているならば、「物価が下落している上に、下落幅が拡大している」ことを意味するわけだ。

 ちなみに、直近の第一四半期のGDPデフレータは、対前年比でマイナス1.2%だった。我が国は現時点においても、物価が下落し続け、さらに下落幅が拡大しつつある、紛うことなきデフレーションの状況にあることが分かる。

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著者
三橋貴明
東京都立大学経済学部卒業。外資系IT企業ノーテルをはじめNEC、日本IBMなどを経て2008年に中小企業診断士として独立。経済評論家、作家としても活躍中。
 
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【金融経済まぐジャーナル】 2013/05/21 号(毎週火曜日発行)

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責任編集 :堀江大輔
スタッフ :本村彰英
 
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