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【第806回】 2013年5月10日 週刊ダイヤモンド編集部

申し込みの4分の3を門前払い
北海道ソーラー計画頓挫の裏

「まるで、キツネにつままれた気分だ」──。札幌市で、メガソーラー用の土地開発を手がけるリアルマジシャンの高橋大介代表は、4月17日夜に事務所に届いたファクスを見てぼうぜんとした。

 送り主は、北海道電力。高橋代表が申し込んだメガソーラーが接続容量の限界に達しており、申し込み上位の案件が確定した場合に「接続をお断りさせていただくことになります」と記されていた。

北海道電力が事業者に対して送ったファクスには接続拒否の理由が記されていた
Photo by Jun Morikawa

 高橋代表は昨年7月、1万1500キロワットのメガソーラー建設のため、日高町内の土地を9000万円で購入していた。1月からは接続協議を始めており、申し込み順位も2000キロワット以上では87件中22番目だったため、接続できる可能性を信じていたという。

 だが、北電は17日、送電容量の問題で、受け付けた156万キロワット分の計画のうち約4分の1に当たる40万キロワットしか接続できないと公表。リアルマジシャンの計画も、わずかに上限を超えた順位に位置していたことが判明した。

「北電によくよく聞くと、37万キロワットぐらいしか接続できないようだ。せっかく『全量買い取り』という言葉を信じていたのに」

 北電と経済産業省はメガソーラーに蓄電池を設置することや、2000キロワット未満に容量を減らすことを推奨しているというが、高橋代表は「精査した上で今後の対応を考える」と言う。

 北電と経産省は昨年12月の時点で、接続容量が40万~60万キロワットにとどまるとの見通しを公表していたため、リアルマジシャンのように、土地の購入まで進めていた案件は多くないようだ。だが、北電管内では、ソフトバンクやオリックスなどの大企業も案件を計画しており、各社の影響は決して小さくなさそうだ。

 ソフトバンクは、公表済みの計約18万キロワットの計画は接続できるようだ。だが、業界関係者は「ソフトバンクは、公表していない他の大型案件に調査費だけでも1000万円程度をつぎ込んでいる」と打ち明ける。

 北電側も、申請を受け付ける際に「容量の問題がある」と伝えていたのは事実で、手続き上の問題はないが「承認されるかわからないままあまりに時間がかかった」(発電会社)との不満は大きい。

 道内に計画があるJKE国際エナジーは、「北海道だけでなく、再生可能エネルギーの普及には接続の問題で透明性の高いルール作りが必要になる」と指摘する。

 だが、この問題の背景には、太陽光発電の買い取り価格が42円と高値で設定され、各社が駆け込みで申請をしたという事情があるのも事実だ。国の積極的な再エネ普及政策が結果として、あだとなった面は否定できない。

 再エネの「本命」とされる風力発電も北電管内が主要エリアとされる。同じ混乱を繰り返さない長期視点の計画が求められる。

 (「週刊ダイヤモンド」編集部 森川 潤)

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