政府は21日午前の情報セキュリティ政策会議(議長・菅義偉官房長官)で、今後3年間のサイバー攻撃対策をまとめた「サイバーセキュリティ戦略」の最終案を決めた。通信事業者がウイルス感染の疑いがある電子メールなどを発見した際、通信情報を解析できるよう検討する方針を示した。憲法が保障する「通信の秘密」に抵触するとの議論もあるため慎重に検討を進める。
内閣官房情報セキュリティセンター(NISC)を、2015年度をめどに専門職員の拡充や権限を強化した「サイバーセキュリティセンター」に改組するなど、政府の体制強化策も打ち出した。スマートフォンの普及などで広がっている危険性を一般利用者に広く知らせることなども明記した。意見公募を経て6月に正式決定する。
首相は21日の会議で「内閣が一丸となり、世界最高水準のIT(情報技術)国家にふさわしい安全なサイバー空間の構築を目指していく」と強調した。
サイバー攻撃への予防的対策として、NTTなどの通信事業者が持っている膨大なウイルス情報に着目する。ウイルス感染が強く疑われる電子メールなどを事業者が見つけた場合、情報を解析した上で利用者にメールを開かせないための注意喚起や、通信を遮断できるようにすることを検討する。
電気通信事業法は憲法が保障する「通信の秘密」に基づき、通信事業者が電子メールなどの情報を無断で確認してはならないと規定する。違反すれば罰則が科せられるため、事業者側は不審な情報に気付いても中身を確認できず、被害の拡大につながっているとの指摘がある。
政府は指針を示すなどして、犯罪や不正利用を防ぐ目的に限って事業者が通信解析ができるよう検討する。必要に応じて、電気通信事業法の改正なども想定する。サイバー犯罪捜査に役立てるため、事業者による通信履歴の保存の義務付けも視野に入れる。
通信解析や履歴の保存は複雑・高度化するサイバー犯罪への対抗策になり得る。一方、民間の事業者によって通信の秘密が侵される可能性もある。国民の権利を守りつつ、実効性のある対策をとれるかが焦点だ。
政府の体制強化策では、米国でサイバー犯罪の手口やウイルス情報の集約・分析を手がける非営利団体「NCFTA」をモデルとした官民の新組織の設置を提唱。外国政府の関与が疑われるサイバー攻撃に対処するため、自衛隊の「サイバー防衛隊」創設も盛り込んだ。
国内の情報セキュリティー市場規模を、現在の6千億~7千億円から20年度までに倍増することも明記した。
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