バレーボール:木村沙織 引退決意→新主将受諾 背景は…
毎日新聞 2013年05月20日 10時47分(最終更新 05月20日 16時43分)
2016年リオデジャネイロ五輪で金メダルを目指すバレーボールの女子日本代表新主将に、エースの木村沙織(26)=ワクフバンク=が指名された。実は今年11月のワールドグランドチャンピオンズカップ(日本開催)を最後に、現役引退を決めていたという木村。「(主将は)お前しかいないぞ」という真鍋政義監督の度重なる説得を受け入れ、引退の意思を撤回して日本代表を率いることになった。
1984年ロサンゼルス五輪以来28年ぶりとなる銅メダルを獲得した昨夏のロンドン五輪。東京・下北沢成徳高卒業後、東レ一筋だった木村は「(サッカーの)長友選手ら同年代の選手が海外で活躍していることにも刺激を受けた」と五輪後の10月、トルコ1部リーグのワクフバンクに移籍した。出場機会は多くなかったが、チームは欧州チャンピオンズリーグを制覇。「五輪でメダルが取れたし、海外でもプレーできたので、一通り経験させてもらった」と、今秋の国際大会を自らのバレー人生の集大成にすることを考えていた。
ところが、真鍋監督は今年1月、トルコ・イスタンブールに乗り込んで、主将就任を直談判。木村は「バレーはやめます」と断ったが指揮官は折れず、帰国後も電子メールで再三、木村をくどき続けた。「ずっと熱いメールをいただいていて、次第に『自分が主将になったらどんなチームになるのだろうか』と想像するようになった」と木村。3月に入り、真鍋監督のアドレスに突然「よろしくお願いします」とのメールが届いた。
木村が高校2年で代表入りした時に主将を務めた吉原知子さんは「(人当たりが)柔らかい印象があるが、実は芯がしっかりしている。沙織らしい主将になってほしい」とエールを送る。木村が描く理想のチーム像は、昨季在籍したワクフバンク。「明るくて、皆が楽しい。自分の意見をポンポン言える」という欧州トップチームの雰囲気を、日本代表の舞台で再現させるつもりだ。【芳賀竜也】