えちぜん鉄道(本社、福井県福井市松本上町)が20日発表した2012年度の乗客数(自社線のみ)の発表によると、前年度比0・4%増の324万6153人で、目標(328万人)は下回ったものの、03年の開業以来2年続きで最多となった。ガソリン価格の高騰による車から電車への通勤切り替えなどで、通勤定期利用者が同約2万9千人増えたのが大きな要因。一方、右肩上がりで推移してきた通学定期利用者は同約1万2千人減り、初の前年度割れとなった。
同社は12年10月1日から、福井鉄道との乗り継ぎ利用の際の運賃を一体化する「連絡運賃」を導入している。連絡運賃を利用した「フェニックス田原町ライン」は1万947人だった。
路線別でみると、三国芦原線が前年度比0・6%増の196万1899人、勝山永平寺線が同0・9%増の129万5201人で、ともに過去最多となった。
自社線の乗客の内訳は、通勤定期が58万512人で同5・3%増。2年連続で5%以上の好調な伸びをみせた。
通学定期は116万1308人で同1・1%減。同社は「これまで堅調に増加してきたが、人口減・少子化の影響が実数に表れた」と分析している。長期休暇時に学生が定期代わりに購入することの多い回数券も同1・3%減の37万1517人となった。
観光、買い物、通院などの「非日常」利用は同0・01%増の113万2816人。日帰り旅行ツアーや運転体験などの企画が新規乗客の掘り起こしにつながったという。観光客の利用が見込まれる8月や10月、雪の少なかった1〜3月は前年を割り込んだ。
一方、利用客でつくる「えち鉄サポーターズクラブ」の登録会員数は同0・4%増の4061人で、05年の設立以来過去最高を記録。ただし、会員の利用数は延べ11万471人で、同0・2%減と初めて前年度割れとなった。
同社は本年度の乗客数目標を自社線330万人、フェニックス田原町ラインは3万人に設定。「堅調な定期利用者を維持しつつ、非日常の中でも特に観光客の利用増を図りたい」としている。