週刊東洋経済(4/20号)の「ミスターWHOの少数異見」欄に『加速度的に進む高齢化 首都圏は耐えられるか』という記事があった。

上の図は65歳以上の人口を2010年を100として2040年の増加割合を示している。黒い部分ほど人口増加が顕著となっている。2010年に比べ2040年の65歳以上の高齢者人口が1.4倍以上となるのは、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、滋賀県、沖縄県となっている。沖縄県は約1.7倍と増加率は最も高いものの、65歳以上の高齢者の割合は30%程度となっている。首都圏の自治体での増加率は1.5倍前後であるものの、高齢者の割合は沖縄県より高く35%前後となっている。
大都市圏であれば、いろいろな施設が集中していたり、公共交通機関が充実していて高齢者にとっても生活しやすいだろう。しかし、独居高齢者が増えて、介護などが十分行き届かないということもあろう。介護などの福祉サービスを充実させることも大事だし、住宅や住まい方も見直すことも必要になるかもしれない。高齢者が安心して生活できる環境や制度の構築が求められよう。それにしても、首都圏をコンパクトシティに変貌させることができるのだろうか。建物を建てるだけでなく、いかに減らしていくか、といったことも必要となろう。新築ではなく、減築のための制度構築も必要ではないだろうか。
3月27日、国立社会保障・人口問題研究所が日本の地域別の将来人口を推計した結果を公表した。わが国の総人口は2010年の1億2806万人から40年後には1億728万人まで減少し(すべての都道府県で減少)、かつ65歳以上人口の割合が23.0%から36.1%へ上昇する。地域別にみると、秋田・青森両県が30%以上減り、トップ(ワースト?)10のうち過疎地域の東北・四国が7県入っている。
人口が減少すれば、高齢化が進むのは理の当然で、40年の65歳以上人口の割合(高齢化率)をみると、ここでも秋田・青森両県が1、2位だ。同様にトップ10に東北・四国の7県が名を連ねている。では、首都圏は相対的に安泰かといえば、実は決してそうではない。65歳以上の人口の増加率をみると様相が一変する。高齢者の増加率では首都圏の自治体が2、3、4位を占め、大都市を抱える愛知、福岡、大阪がもれなくトップ10にランクインしている。
もう少し詳しくみていくと、今後30年のうちに日本全体で高齢者が919万人増加する。そのうち388万人が首都圏に在住することになるのである。実に、日本全体で増加する高齢者の42%が首都圏に住む計算になる。首都圏はこうした大量の高齢者をスムーズに吸収できるのだろうか。むろん、東北・四国の高齢化率も問題だが、首都圏のこの実数の絶対的な重さはただごとではない。
たとえば、ケアマネージャーの数は足りるだろうか。介護施設などの整備は滞りなく進んでいるのだろうか。今後30年を展望すれば、首都圏をはじめとする大都市部では、加速する高齢化が最大の社会問題になるのである。現在でさえ、東京都は独り暮らしの世帯が多いことで知られている。首都圏の高齢化は、高齢者をさらに分断し、孤立させるだろう。私たちは足元の相対的に”小さな”高齢化問題にさえ対処できていない。そうであるなら、想像を絶するスピードで進行する今後の高齢化に、どう対応していけばいいのだろう。
首都圏や大都市の財政にはまだ幾分かの余裕がある。とはいえ、加速度的に膨張する高齢者に対して、効率的で温かみのある医療・介護体制を構築していくことは、極めて難度の高い作業だろう。高齢化率を意識した地方自治体は「社会的機能の拡散から集中へ」と唱え、コンパクトシティなど新しい社会設計に着手している。しかし、繰り返しになるが、向こう30年の高齢化は、地方より首都圏を激しく直撃することを片時も忘れてはならない。
首都圏こそコンパクトシティに作り直さねばならない。公共住宅はすべてコレクティブハウスとし、都心に老荘の混住圏を創り出さない限り、高齢化に対処することはできないだろう。
上の図は65歳以上の人口を2010年を100として2040年の増加割合を示している。黒い部分ほど人口増加が顕著となっている。2010年に比べ2040年の65歳以上の高齢者人口が1.4倍以上となるのは、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、滋賀県、沖縄県となっている。沖縄県は約1.7倍と増加率は最も高いものの、65歳以上の高齢者の割合は30%程度となっている。首都圏の自治体での増加率は1.5倍前後であるものの、高齢者の割合は沖縄県より高く35%前後となっている。
大都市圏であれば、いろいろな施設が集中していたり、公共交通機関が充実していて高齢者にとっても生活しやすいだろう。しかし、独居高齢者が増えて、介護などが十分行き届かないということもあろう。介護などの福祉サービスを充実させることも大事だし、住宅や住まい方も見直すことも必要になるかもしれない。高齢者が安心して生活できる環境や制度の構築が求められよう。それにしても、首都圏をコンパクトシティに変貌させることができるのだろうか。建物を建てるだけでなく、いかに減らしていくか、といったことも必要となろう。新築ではなく、減築のための制度構築も必要ではないだろうか。