韓国大統領府(青瓦台)の尹昶重(ユン・チャンジュン)前報道官によるセクハラ疑惑が浮上した今月8日(現地時間)、訪米中の朴槿恵(パク・クンヘ)大統領一行を乗せカリフォルニア州ロサンゼルスに向かっていた専用機の機内で、緊急対策会議が開かれていた。この事実は14日までに確認され、大統領府の関係者は「機内での対策会議の直後、朴大統領にも報告されたようだ」と語った。これまで大統領府は「朴大統領への最初の報告は、ロサンゼルス到着翌日の9日午前9時に李南基(イ・ナムギ)広報担当首席秘書官が行った」と説明していた。
「機内対策会議」は、専用機が午後3時にワシントン郊外のアンドルーズ空軍基地を離陸してから、およそ1時間後に開かれた。メンバーは李南基首席秘書官はじめ、外交部(省に相当、以下同じ)の尹炳世(ユン・ビョンセ)長官、 崔英鎮(チェ・ヨンジン)駐米韓国大使、チョン・ホソン第1付属秘書官、アン・ボングン第2付属秘書官、チョン・グァンサム広報首席室先任行政官などだった。
会議では「尹報道官(肩書きは当時、以下同じ)が8日午前に、韓国文化院側が用意したタクシーに乗ってワシントンのダラス空港に向かったこと」「1号機が離陸する直前、米国務省から届いた『尹報道官は取り調べを受けることになった』という通知の内容」などが共有された。会議のメンバーは韓国政府の法務部に連絡し、また民政首席室には「尹報道官が帰国便から降りたら調査せよ」と連絡した。大統領府関係者の話では「機内対策会議が終わった後、朴大統領にも報告された」という。
専用機は8日午後5時45分ごろ(現地時間)ロサンゼルスに到着し、朴大統領は同日午後7時20分に、在米韓国人との夕食懇談会を終えた。ソウルの民政首席室は9日午後4時55分(ロサンゼルスでは9日午前0時55分)、韓国に到着した尹報道官に対する調査を行い、その結果はロサンゼルスの李南基首席秘書官に伝えられた。
李首席秘書官が朴大統領に提出する報告書の作成を終えた時刻は、9日の午前2時ごろだった。朴大統領と対面して詳細な内容を報告したのは9日の午前9時ごろ。報告の際朴大統領は、李首席秘書官と共に尹外相も呼び出した。わずか1-2分で、尹報道官更迭の指示が下った。李首席秘書官は、韓国に戻っていた尹報道官にその事実を伝え、「辞任したい」という尹報道官自身の要求は却下した。
10日午後6時30分に訪米団が韓国に帰国すると、大統領府では許泰烈(ホ・テヨル)秘書室長が主宰する緊急対策会議が開かれた。李貞鉉(イ・ジョンヒョン)政務担当首席秘書官、ユ・ミンボン国政企画担当首席秘書官などが出席した。会議のメンバーは議論の末「翌日、秘書室長が国民向けの謝罪文を発表する」という結論を下した。大統領府の関係者は「許室長が『李首席秘書官を呼んでこい』と言ったが、そのとき(午後10時40分)、李首席秘書官は既に記者室で『韓国国民と朴大統領に謝罪する』という謝罪文を発表していた」と語った。しかし、李首席秘書官が果たして許室長と相談せずに謝罪文を発表したのかどうかについては、確認が取れていない。
大統領府の関係者は「十分な協議なしに謝罪文が発表された。そのせいで、13日の朴大統領の謝罪まで合わせて『3段階の謝罪』になってしまった。システムがまずかった」と語った。