【記者手帳】セクハラ騒動を終わらせたい在米韓国大使館

 16日(現地時間)午前、在米韓国大使館の高官から記者の携帯にメールが届いた。「1週間、事件記者の仕事で大変だったと思う。これからはまた外交の話をしようではないか」との内容と共に、朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が米国議会で行った英語の演説を肯定的に評価した米国シンクタンクの分析リポートが添付されていた。ワシントンに駐在している韓国の特派員の大半に、同じメールが届いた。

 先週1週間「尹昶重(ユン・チャンジュン)大統領府前報道官のセクハラスキャンダル」という予測不可能な「流れ弾」に当たったワシントンの特派員たちにとって、「外交」などなかった。新政権になって初の韓米首脳会談が行われ、両国関係の変化などを取材すべき時期に、国務省やホワイトハウスではなく、警察署やワインバー、ホテルへの取材に多くの時間を費やしたのだ。

 大使館も同じだった。セクハラ問題の対応に追われ、正常な外交活動は事実上ストップした。数日前に大使館関係者に対し、日本の飯島勲特使(内閣官房参与)の訪朝に対する米国の反応を訪ねたところ「正直言って、私たちはそういうことに気を配る余力がない」との答えが返ってきた。このような非正常的な状況を正常に戻し、何カ月もの苦労の末に実現させた大統領の訪米の成果をアピールしたい、というのが大使館の本音だろう。

 だが問題は、依然として尹前報道官によるセクハラ疑惑の真相がほとんど解明されていない上、大使館がこの問題について直接責任のある当事者ということだ。「セクハラ」の部分は、米国の警察の捜査結果が出るまで待てばよいが、大使館が今回の問題を隠蔽(いんぺい)・矮小(わいしょう)化したり、報道官の逃亡をほう助したりしたとの疑惑については、大使館が自ら解明すべき部分だ。だがこれまで大使館はこの疑惑について、何ら十分な説明をしていない。疑惑が指摘されて初めてしぶしぶ釈明し、それも説明がころころ変わった。

 こうした中、これまで記者からの取材電話にも出なかった大使館の人間が、まるで第三者のように「さあ、もうこの問題は終わりにして別の話をしよう」と持ち掛けてきたのだから、疑惑をうやむやにして責任を逃れようという意図があるとしか思えない。

 国に恥をかかせたスキャンダルから早く抜け出したいというのは、全ての関係者の共通した思いだろう。だが「終わりにしよう」というのは、少なくとも大使館がこのタイミングで用いるべき言葉ではないはずだ。

ワシントン= イム・ミンヒョク特派員
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