待機児童:3年で「ゼロ」に 人材確保など課題も 横浜市
毎日新聞 2013年05月20日 12時27分(最終更新 05月20日 13時48分)
横浜市は20日、現在の形で統計を取り始めた2001年以来初めて、4月1日時点の保育所待機児童数がゼロになったと発表した。市の人口は全国の市町村でトップの約370万人。待機児童は10年4月時点で1552人と全国最多だったが、認可保育所増設やきめ細かな情報提供に取り組み、3年で解消にこぎ着けた。一方で、定員割れや保育士不足という課題も浮上しており、現場は「より良い保育環境に向けたスタート地点」と受け止める。【高木香奈、山田麻未】
横浜市は10年以降、株式会社などの新規参入を活用したほか、民有地と保育運営事業者を公募して仲介する土地マッチングの手法を導入。認可保育所を144カ所整備し定員を1万人以上増やした。
11年6月以降は、個々の保護者に応じ多様な保育サービスについて情報提供する専門相談員「保育コンシェルジュ」を全18区に配置。待機児童は12年4月に179人にまで減っていた。
12年4月時点の全国の保育所待機児童は前年比で731人減の2万4825人。安倍晋三首相は横浜市の取り組みを全国展開すると表明している。
横浜市によると、4月1日時点の就学前児童19万106人(前年比1664人減)のうち認可保育所の入所申込者は4万8818人(同3111人増)。入所できなかったのは1746人(同629人減)だった。
ここから市の定義に基づき(1)市が独自基準で認定し補助金を出す認可外施設「横浜保育室」などの入所者数(877人)(2)4月1日時点で親が育休を取得している児童数(203人)(3)特定の保育所のみ希望する申込者数(566人)(4)親が自宅で求職中の児童数(100人)−−を引いた結果、待機児童がゼロになった。
横浜市の林文子市長は記者会見で「多くの熱意が結集して達成できた。これからも潜在的なニーズに応えるため整備を行い、子育て支援の充実に取り組みたい」と話した。