生きた証拠品:警視庁“いきものがかり”の願い
毎日新聞 2013年05月18日 15時00分(最終更新 05月18日 15時23分)
全国で唯一、「生き物」事件専門の捜査係がある警視庁生活環境課。福原秀一郎警部(57)がホンネを少しだけ明かしてくれた。
通常の事件と違うのは保管先を確保しなければ家宅捜索できないこと。証拠品が生き物で絶滅危惧種ばかりですからね。鳥以外は動物園や水族館などを独自で探して好意で受け入れてもらっています。
押収にも細心の注意を払います。05年に真冬の捜査で希少種のカメ100匹以上を押収したのですが、その日のうちに動物園に運べませんでした。温暖な気候でしか生きられないカメだったので、暖房付きの捜査車両で一夜を明かしました。
今国会では違法な捕獲や販売をした企業に対する罰金を最高100万円から1億円にする種の保存法改正案が審議されています。11年にヘサキリクガメ2匹が700万円で売買される事件がありましたが、それでも罰金は100万円。厳罰化は自然の流れでしょう。収集欲自体は悪くありませんが、対象が生き物だと絶滅のような取り返しがつかない事態につながります。希少種の命を守るため国際的な責務の一翼を担っていくつもりです。