西武ドームに詰めかけた虎党。七回攻撃前にジェット風船が舞った【拡大】
3点を追う四回だ。2連続押し出し四球で1点差に迫り、なおも無死満塁の好機。狙っていた。制球に苦しむ2番手・坂元の初球。ストライクがほしい投手心理を読んで、低め136キロ直球をジャストミートだ。鋭い打球は右翼線を襲い、あっという間にフェンスに到達。自身2戦連続の適時打はシーソーゲームに“終止符”を打つ決勝打となった。
4月中には一時、0割台に沈んだ得点圏打率も・205(44打数9安打)まで上昇。もちろん、まだ物足りないが勝負強さは戻りつつある。一挙5点のビッグイニングはわずか2安打だっただけに、鳥谷の一打が際立った。
2年連続のフルイニング出場を目標に掲げる背番号「1」のこだわりは足元にも行き渡る。ゲームで使用するナイキ社のスパイクは3種類。なかでも、この日も履いていた人工芝用は今季から初めて導入した。米国で人気を集める歯がプラスチック製の“相棒”だ。
きっかけは2013年ワールド・ベースボール・クラシック。侍ジャパンのメンバーでメジャー経験者の松井(現楽天)が愛用していたことだった。先輩内野手に使い心地を聞くと、すぐさま「同じやつを作れないですか」と担当者に依頼。黒土よりも足に負担のかかりやすいグラウンドに適した一品を手に入れ、「だいぶ楽。疲れにくくなった」。細部にまで神経を注ぎ、戦いの場に立ち続けている。
「応援が後押しになります。(交流戦の)借金があるので、あした勝って、千葉に行きたい」
ヒーローインタビューを力強く締めくくった。西武ファンだった少年時代、何度も駆けつけた球場のスタンドには大勢の虎党-。感謝の思いを胸に次戦を見据えた。 (小松 真也)
(紙面から)