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2013年5月20日(月)付

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生活保護改正―弊害が出ないか心配だ

貧困に陥った人を保護から遠ざける結果を招かないか。国会審議を通じて、現場への影響を慎重に見極める必要がある。安倍内閣が生活保護法の改正案を閣議決定した。今国会での成立を[記事全文]

火山国の備え―研究と防災を近づけよ

2年前、東日本大震災の本震から4日後の夜、おおぜいの火山学者が緊張した。富士山の真下を震源とするマグニチュード6・4の地震があったからだ。巨大地震の直後から数年のうちに[記事全文]

生活保護改正―弊害が出ないか心配だ

 貧困に陥った人を保護から遠ざける結果を招かないか。国会審議を通じて、現場への影響を慎重に見極める必要がある。

 安倍内閣が生活保護法の改正案を閣議決定した。今国会での成立を目指す。

 懸念が二つある。

 一つは、生活保護を申請するときのハードルである。

 改正法案では、申請時に収入や資産を記した書類を本人が提出することを明記した。

 当たり前のように思えるが、厚生労働省は08年に「保護を申請する権利を侵害しないこと」を求める通知を出し、事情があれば口頭の申請も認めた。

 というのも、福祉事務所では過去、保護費の膨張を抑えようと、色々と理由をつけて申請を受け付けない「水際作戦」が横行したからだ。困窮者の餓死事件を引き起こしたとされ、大きな社会問題になった。

 今回の改正案は、下げたハードルを再び上げたように映る。

 厚労省は「運用は変わらない。口頭での申請も認める」と説明する。書類が必要なことは施行規則に書かれており、それを法律にしただけという。

 現場からは疑問の声も聞こえてくる。

 年金や医療保険は、本人が保険料を支払うことが給付の要件になる。一方、「最後のセーフティーネット」である生活保護では、保護の必要性を証明する最終的な責任は行政側にあるとの認識が浸透してきた。

 しかし、申請書と生活困窮を証明する書類の提出が明記されることで、その立証責任が本人に移り、支給をめぐるトラブルの際、申請者側に過重な負担がかかりかねないという。

 もう一つの懸念は、役所が親族に収入や資産の報告を求めるなど、扶養義務を果たすよう働きかけやすくしたことだ。

 昨年、人気お笑い芸人の母親が生活保護を受けていたことなどをきっかけに、世間には怒りの声が満ちた。それを受けた措置だが、親族の勤務先まで連絡がいく可能性があると知れば「迷惑がかかる」と、申請をためらう人も増えそうだ。

 こうした引き締め策は、悪意のある申請の抑止より、保護が必要で誠実な人を排除する弊害のほうが大きくならないか。

 自民党の議員からは「生活保護は運用を厳しくすれば減らせる」という声も上がる。

 だが、「水際作戦」で餓死が発生したら、世間の怒りはまた行政に向くだろう。バッシングの矛先が、受給者と行政を行き来する。不毛な繰り返しは、もう見たくない。

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火山国の備え―研究と防災を近づけよ

 2年前、東日本大震災の本震から4日後の夜、おおぜいの火山学者が緊張した。富士山の真下を震源とするマグニチュード6・4の地震があったからだ。

 巨大地震の直後から数年のうちに、周辺で火山の噴火が起きる。

 そんな世界的な経験則そのままに、富士山が噴火するのではないかと考えたのである。

 さいわい、その後、富士山やほかの火山で変わったことは観測されていない。

 これを機に内閣府の有識者会議は大規模火山災害への備えを点検し、先週、政府主導で具体的な対策を急ぐよう提言した。

 110の活火山がある世界有数の火山国にしては、現在の防災体制は地震以上に貧弱で、相当のてこ入れが必要だ。

 有識者会議の提言は、ないないづくしの現状を訴える。

 火山灰が大都市に与える影響が十分にわかっていない。実践的な避難計画は霧島山と桜島にしかない。特に注意が必要な47火山でさえ観測体制は必ずしも充実していない。火山防災に関する研究や予算をまとめる組織がない……、といった具合だ。

 火山の防災について、政府の取り組みはきわめて弱かった。

 1914年の桜島大正噴火から100年近く、比較的静穏な時期が続き、切実感がなかったことが根本原因だ。

 しかし、研究と防災に長期的に取り組む必要があるのは明らかだ。提言が求めるように、政府主導で進めるべきだ。

 現在、日本の火山研究者は大学に約40人。気象庁や国土地理院、各省の下の研究機関を合わせても約80人で、活火山の総数にも足りない。まとめ役の気象庁は政府内で発言力が小さい。

 まず、地震の調査研究と防災をつなぐ地震調査研究推進本部のような仕組みをつくるべきだと提言は求めている。この組織は中央防災会議の意見にもとづき、防災上の要請を反映させた調査研究計画を決めて、役立っている。

 地震と別に本部をつくるかどうかは置いて、火山研究に防災の観点を強めることができるだろう。従来は研究者の責任感に頼りすぎだった。人材を育てながら研究と防災の距離を縮めないと、資金面でも人材面でも火山防災は前に進まない。

 海外を見ると、米地質調査所が有名な米国をはじめ、イタリアやインドネシア、フィリピンといった火山国は先を行く。人材を一つの組織に集め、監視・研究だけでなく火山情報の発表やハザードマップ(災害予測図)づくりも担っている。

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