風俗産業と駐ウズベキスタン大使時代
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駐ウズベキスタン大使時代、風俗の問題に取り組んだ。
ある日、領事業務を行っている若い館員(独身)が私の部屋に来た。
「大使、今ウズベキスタンの何人かの若い女性がビザを求めてきています。彼女らは売春に日本にいくのです。止めてください」
書類を見ると、この女性達の受け入れ先は皆、浅草で10人くらいが同じ住所にいくことになっている。風俗で働く可能性は高い。
しかし、日本は基本的にウズベキスタン人にビザを出すことにしていた。 止めるわけにいかない。
「止めるのは難しい」というと、若い館員は「大使、若い女性が風俗に行くとわかってビザを出すのですか」と詰め寄られた。
「わかった。ウズベキスタン側に行って、申請書を自発的に撤回するよう頼んでくる」と答えた。
そして外務次官に会いにいった。
「今、ウズベキスタンは独立したばかりだ。評判が極めて重要だ。若い女性たちがビザを求めてきた。風俗にいくだろう。ウズベキスタンの評判に悪い。撤回してくれないか」
すると次官は次のようにいった。
「西側大使はウズベキスタンには自由がない。特に国外に出るのに規制していると文句を言ってきている。貴方はその逆を要請してる。とてもできない」
そしてこの次官はしばらく書類を見ていた。
その中に斡旋業者の名前が出ている。ロシア・マフィアだった。それを見て次官は急に「これは大変だ。止めなければいけない。大使、これから内務省次官の所に行って事情を説明してくれ」。
説明した。
後日、申請した本人たちは申請を撤回した。
内務次官は親を呼んで、訪日の危険性を説明し、女性たちが自発的に撤回したのである。
ソ連崩壊後、旧ソ連から多くの女性が風俗で働きにきた、
少なくとも、私が大使時代、ウズベキスタンから日本の風俗で働きに来た人はほとんどなかったはずだ。
大使時代の活動でよかったと思っている一つである。
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