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橋下発言

2013年5月16日

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戦争を免罪符にするな

 法廷で強姦(ごうかん)罪に問われた被告が言う。「レイプ事件はどの国でも起きている」「性的衝動を抑えるためにやった」。こうした弁明は、犯した罪に向き合おうとせず、正当化するものとして、判決では厳しく指弾されよう。弁護士ならずとも分かることだ。

 日本維新の会共同代表、橋下徹氏が言っていることは、これと同様だ。

 戦時中の旧日本軍の従軍慰安婦制度について、「必要なのは誰でも分かる」「当時は世界各国が制度を持っていた」と語った。

 歴史認識の問題以前に性暴力の肯定につながる、人権意識を著しく欠いた発言だ。本音を語ったつもりだろうが、そうした本音を持つ人物が政治家を務めている異常さに気付いていないという意味で二重に戦慄(せんりつ)する。

 橋下氏は強制的に慰安婦にさせられた証拠はないと主張し続けてきた。今回の発言でも「日本が不当に侮辱を受けている」と強調している。

 だが、慰安婦問題の本質は強制性の有無にあるのではない。

 慰安婦の女性たちは、決して「慰安」をしたわけではなかった。性暴力を受けたのだ。

 列をなす兵隊たちの相手をさせられる。体と心に深い傷を刻み付けられる行為は暴力以外の何ものでもない。欧米で「セックス・スレイブ(性奴隷)」と呼称されるゆえんだ。

 それはまた、女性の尊厳を踏みにじる側に回った兵隊にとっても、自らの尊厳を傷つける行為に他ならなかった。そうした認識がないからこそ、軍隊が持つ非人間性を否定するのではなく、沖縄の米軍司令官に「風俗業の活用」を進言するという愚挙もなせるのだろう。

 橋下氏は「戦争の悲劇の結果なので、慰安婦になってしまった方には優しい配慮が必要だ」とも語った。

 だが、被害者が求めているのは、哀れみや同情ではない。つらい過去を語り続ける元慰安婦がいるのはなぜか。忘れてほしくない、仕方がなかったと片付けてほしくないからだ。忘却と免罪が意味するのは、続く苦しみを生きる、その人そのものの否定だ。個人の尊厳はここでも踏みつけにされようとしている。

 戦争だから仕方がない-。平和主義を頂く日本国憲法の改正が政治の場で語られるいま、その発想が行き着く先を考えたい。

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