1回、満塁ホームランを放つ阪神・新井良=甲子園(撮影・岡田亮二)【拡大】
浜風に乗った。大歓声に乗った。何より、新井良の気持ちが乗った-。白球が左翼席最前列に着弾すると、真っ黄色に染まった甲子園は狂喜乱舞。プロ初…いや、人生でも「記憶にない」満塁弾が沈みかけた虎に交流戦初白星を運んだ。
「しょっぱい打席が続いていたんで、気合で打ちました!」
4万超の視線を集めたお立ち台。並んだ1歳年下の西岡から「きょう打たんでいいんちゃう? という感じでした」といじられたが「僕のことを先輩と思っていない。同級生みたいな関係」とニヤリ。鮮やかな先頭打者弾を放った後輩を嫉妬させた打席は一回だ。1点を先取し、なおも一死満塁の絶好機だった。
「ここ最近、真っすぐを打ててなかったので、そういう面ではしっかりと捉えられてよかった」
昨季の沢村賞投手・摂津の6球目だ。外より高めの139キロ直球をコンパクトに上からたたいた。5日のヤクルト戦(甲子園)以来、38打席ぶりの4号グランドスラム。ダイヤモンドを一周し、ホームベース上で両拳を握りしめた。第2打席も左前打で復調ムード。和田監督も「好機を広げて1点で終わると、また向こうに流れが傾くところ。よく打ってくれた」と目を細めた。