武田邦彦の音声解説 ←クリック

郡山の福島集団疎開裁判の報道をしたのは、東京では東京新聞だけだと思う. この裁判は単に「郡山で法令以上の被曝をしている児童は「勝手に移動しろ」」という判決で、その理由として「政府がそう言っているから」という内容だ.

三権分立というのは、政府が法令に違反して国民が被害を受けたときに裁判所が法令に基づいて国民を守ってくると学校で説明を受けた。

でも、裁判所が「法令の被曝を超えているけれど、政府がOKというから、そのまま郡山にいろ.イヤなら自分で移動しろ」ということだから、大変な裁判結果である.

それを大新聞が報道しない理由は次の通り.

1)大きなニュースだから、
2)政府が隠したいことだから、
3)日本の三権分立に関わることだから、
4)郡山の子どもが法令を超えて被曝していることが分かるから。
5)我が社(新聞)は原発推進だから。

「危険なことは報道しない、大きなことは報道しない」という大新聞の性向が良く表れている. でも、大新聞が役に立たないことは事実だ。それでもオレの力は強いから、どんなに不正なことでも正面突破できると大新聞は信じている. なめられたものだ.

(平成25年5月14日) 武田邦彦

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京都大学の小出裕章助教と医師の松崎道幸さんから
この判決のコメントを頂いていますので読みあげたいと思います。

まず小出裕章さん。

疎開裁判判決いただきました。
私は昔から裁判には期待しないと発言してきましたが、改めてその思いを深くしました。
判決は直ちに影響が出るものではないと言いながらも、低レベル放射線被ばくの危険そのものは認めています。
そして、学校だけかわっても地域で生活する以上は、年間1ミリシーベルトを超える被ばくをしてしまい、避難、移住をする以外にないと結論しています。

その通りです。

子どもを年間1ミリシーベルト以上被曝させないためには、郡山を含め汚染地から逃がすしか方法はありません。
そうする責任が国にあると私は思いますし、そう主張もしてきました。
それなのに、年間1ミリシーベルト以下にしたいのなら逃げるしかなく、個人の力で逃げられない訳でもないのだから実態に理由がないとしています。

問題は子どもたちに被ばくを強いている責任が、汚染地に取り残されている個人にあるのではなく、国にこそあるという事です。

それを問題に出来ない裁判とは国家の奴隷のようなものですね。

4月24日 小出裕章

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続けて医師の松崎道幸さんです。

裁判所は福島原発事故により福島の児童生徒の生命、身体、健康について由々しい事態の検討が懸念されると認定しましたが、通学先を変更しても残りの3分の2の時間を汚染地域に留まっているのでは意味がないとして訴えを却下しました。

しかし、この判決は福島中通り地域からの全面的な疎開が必要であるという新たな運動の根拠をつくりだしたと考えます

子どもたちを含めた多くの人々の生命と健康を守るため戦いをさらに続けましょう。

福島県の中通りは放射能汚染によって由々しき事態が進行中だと裁判所が認識したという事を武器にしていきたいと思っております