あらすじ?展開?
天城探偵事務所でくすぶる小次郎の前に久しぶりに飛び込んだ依頼。安藤という会社社長の護衛をその秘書から依頼され、小次郎はこれを受ける。しかしそれが一筋縄では行かないことを悟った小次郎は緊張感を高ぶらせるのだった・・・。
法条まりなは4年ぶりに前線に復帰した。そこで彼女に与えられた任務は連続殺人事件の犯人の追求。そして被害者の生き残り、藤井ユカの護衛である。真弥子のことで気が進まないまりなだが、ユカの心を知るうちに打ち解け、今度こそは必ず守りきると決意を新たにするのであった・・・。
小次郎、まりな。二人の捜査の手が進むに連れて、またも頭をかすめる「EVE」という単語。そして「ADAM」の謎。
事件を解決して行き、二人が最後にたどり着くのは逃れられない現実と情熱との葛藤だった・・・。
感想?批評?
結果から言えば、
「ボクの気持を裏切ったな!!LOST ONEと同じで裏切ったんだ!!」
といったところだ。
だが、それはあくまで結果であって、それに至るまでの過程が全て憎悪と言うわけでもなかったので、総合面ではプレイしても構わないと思われる。ただしかなりの高確率で後悔するだろうが・・・。
まあ、徐々に失望の念が増幅してきたわけで、その順序としてはこんな感じだったろう。
もともと期待などしてはいなかったが、それでも手にとってしまう悲しさ。
騙されていると分かっていながら小次郎、まりなが主役でEVEの続編を匂わせる宣伝を目の当たりにしたら、どうしてもプレイしないわけには行かない。せめて失望のみで終わらないように願うばかりだった・・・・。
そんな猜疑心の満ち満ちた状態からスタートしたわけだが、オープニングはかなりイカす。これまでとは一風変わった無機質なビートで刻まれる、いかにもミステリーと言う感じのムービーではないか。ついでに言えば、小次郎の格好良さを全面に押し出したようなシブいオープニングだった。案外別の意味で期待できるかも、などと思ってしまったとしても仕方ないだろう。
そしてゲームーに突入した後も、結構話は緊張感を持って進んでいったように思われる。客観的に分析するよう努めた場合、EVEとは別の新たなる物語としては案外楽しめるものだったのではなかったか、と感じることは出来た。
しかし、それも長くは続かない。
基本的に見れば、年取った小次郎やまりながさらなる大人の渋みを見せるような展開と会話である。言わば「ロートル達の復活の儀式」である。今までと違う展開というのもゲーム単体としては悪くないと、一応思う。
が、2人の主人公にどうもパワーが感じられない。特に小次郎などは話が進むに連れて自分の哲学を見失っていき、終盤には全てに自暴自棄になり、何の情熱も感じられない腐った魚と化す。まるで定年寸前のサラリーマンのような人物にまで成り下がってしまった始末だから、こんな主人公には何の魅力も感じることが出来なかった。
小次郎やまりなは本来もっとこう、普通の人間には放てないオーラみたいなものをまとっていたはずなのに、ADAMの中でその器量が縮小してしまったと嘆かずにはいられない。
これもひとえにスタッフがキャラクタ作りをする際に、徹底と反映の精神が不足していたからだろうか?
「小次郎とはこうであって、まりなとはこうである。」
別に決まっているわけではないが、多くのユーザーはもっと高みにある二人を望んでいたはずだ。そんなユーザーの声をスタッフが読み取り、上手く二人に反映させる。
もしスタッフなりの思惑があるのならばそれをもっと全力で伝えなければならない。しかもその時ユーザーの声は決して無視してはいけない。販売本数を上げたいならばユーザーの思う通りの展開にすればよいし、メーカー側の我を通したければ理解してもらうために最大限の力を注がなければならない。そしてどちらも満足させようと言うのならば、ユーザーの感情とメーカーの思惑を絶妙なバランスで取り入れていかなければ、ADAMのような続き物の場合クソゲーと呼ばれる危険性が高いのである。
だからこの場合、ユーザーの願望と期待をメーカーの我がはるかに上回ったため、結論としては大失敗作「ADAM」と呼ばれるのであった・・・。
もっとユーザーを声を重く考えねばなるまい。もともとユーザーは中途半端な続き物など作って欲しくなかったのに、敢えて夢をぶち壊すかもしれない所業に挑戦するというのだから、ユーザーの納得行く完成度を示して当然だ。もし叶わないなら売上を上げるためだけに売りっぱなしの商品を作ったと非難されても仕方ない。
そしてADAMはそんな売りっぱなし作品の代表格となってしまったからシーズウェアを全力で潰したいと考える私のような輩が現れても誰も文句をつけることは出来ないのだろう。
自業自得のシーズウェア。
もはや弁解の余地はない。
まあ、そんな感じで最初は結構盛り上がったのだが、終盤に進むに連れて意気消沈の一途を辿るシナリオがADAMという全体像である。
このまま独立した話にしておけばよかったものの、昔のキャラが登場するたびに権威は失楽。
あんなに眩しかった小次郎も昔のようなキレを感じさせない、スランプに陥ったバッターみたいな惨めな様を発揮する。それを慰めてもらおうと弥生に甘えようとしても愛想をつかされ、ついでに恭子にもフラれ、残るは汚いルンペン事務所・・・。唯一見せ場を作った暗殺者とのバトル。ここで多少男を上げたのにも関わらず、それが終われば生きることに疲れたと言い切る投げやり口調のおっさん。ダメだなこりゃ・・・。
で、まりなはまりなで出戻り捜査官よろしく昔の知性は置き去りに、細目のさえない男相手に腰を振る始末。オジサマはどうした?
挙句の果てにはプリーチャーを自称する冬月副指令のようなおっさんにあっさりとのされてあえ無く小次郎にバトンタッチだ・・・。どこに見せ場があったのだろうと疑わしくなってくるではないか?
もちろん他のキャラも全滅だ。
BURST ERRORで渋い印象のままに思い出となったステキなオジサマも遠藤という小太りのおっさんのせいでその存在自体がショボイものに見えてきて悲しい。
そしてプリシアの声が違っていた瞬間などは全てを裏切られた気分だ。
新しいキャラと新しい物語で今までの全てを台無しにしてしまったと断言できるクサレ作品。
それがADAM。
最後にとどめとばかりにガキ出現。「最後のシ者」だとでも言いたげに登場して、「ボクは生きてちゃいけない人間なの?」である。
そしてそのチョイ役のガキがタイトルにあるキーワード「ADAM」であるというムリヤリな展開で、訳の分からないままに「TO BE CONTINUED」と強制終了。
全く唐突である。
なんだったんだ?
小次郎とまりなは何だったんだ?
エルディアは?内閣調査室は?恭子のHシーンは?
支離滅裂ここに極まった。
後は怒りのビッグバンに突入である。
そして最後にみんなこう言うだろう。
「ADAMよ、お前は生まれてくるべきではなかった」、と。
まったく、とりあえずEVEと切り離さすなら切り離す。そうでなければ納得のいくものを作って欲しかった。
まあ、C'sにとってもそれを充分に踏まえていたと思いたいのだが・・・。
「分かってるよ。だから納得させるゲームをEVEファンに示さなきゃならないんだろ?」
、と意気込んでくれたのだろうか?
しかし、
「そういうメーカーにしては、ユーザーに冷たかったな?ええ?」
ぜひC'sにそう言いたい。
「ADAMはマシーンじゃない。BURST ERRORの代わりなどできない。」
違う。BURST ERRORは確かに偉大だったが、それでも納得する作品を作って貰えば満足だったのだ、私達は。
EVEの名を連ねるに足る完成度であればそれで・・・。
C'sは私達にこう言うか?
「それでか?お前達ユーザーはそれだけでADAMをクソゲーとして扱って・・・」
EVEと比べるな、と?
「そうか、C'sはADAM自身の評価を求めていたのか?それを俺達EVEファンは迷惑に感じてADAMをクソゲーにしたのだな?」
まあ、あくまで比べたい。それは人間の性だよ。
しかしお前達の存続も、ユーザーの支持あればこそだろう。
「お前達ほどのゲーマーが、何て器量の小さい」
C'sとしてはあくまでEVEにこだわり続けるユーザーに対して言いたかったことだろう。
だがな・・・
「EVEは、私の光になってくれるかもしれないシリーズだ。それを殺した貴様らに言えたことか!!」
あくまでEVEにこだわりたい。
「光?EVEシリーズが?」
そう、結局の所、私を含めてEVEファンとはBURST ERRORの感動を忘れられない夢見る者達だ。望めば小次郎とまりながその冴える知性と能力と感動を以って応えてくれる。
そう信じてEVEという一貫した物語に何かの感銘を求めるのだ。
そしてもしBURST ERRORに関係がなくても独立した物語としてユーザーを唸らせる仕事をしてくれたのならあるいは・・・。
最後の希望にすがってADAMに光を見出したかった。
しかしそれは叶わぬ夢。
EVEを愛するからこそADAMを憎む。
ADAMは永久に宇宙の塵と化して、後にはBURST ERRORという残骸が残るのみだった・・・・。
ところでPS版ADAMが出るらしいではないか。
懲りない奴等、全身全霊を以って潰したいぜ・・・。
しかし、よく見ればパソコン版で見たことない画像が一杯だ。ADAMと思しき少年が多数。しかもプリシアが小次郎に抱きついているものまで・・・。プリシアファンの私としては願ってもないことだ。
・・・・・・
弥生と恭子を小次郎から遠ざけたのもプリシアのための布石?
もしかして俺買っちゃう?
だとしたら相当の悪党だな、シーズウェア・・・。
さわたり