【萬物相】「731」番の自衛隊機に搭乗した安倍首相

【萬物相】「731」番の自衛隊機に搭乗した安倍首相

 中国吉林省の長春にはかつて日本帝国の操り人形だった満州国の王宮がある。中国の江沢民元国家首席はこの地に碑石を立て、そこに「勿忘九一八」と記した。日本による中国侵略が始まった1931年9月18日を忘れるなという意味だ。また、黒竜江省ハルビン郊外には日本の関東軍細菌部隊だった「731部隊」の残骸が残っており、中国はこれに「侵華日軍第731部隊罪証陳列館」という名称をつけた。旧日本軍の罪を忘れないという意味だ。ここには「前事不忘 後事之師」と書かれた横断幕も掲げられている。過ぎた日を忘れず後世の教訓にしようという意味だ。

 731部隊では1933年から終戦で日本が敗戦するまで、多いときは1日20人が生体実験により犠牲となった。2009年に韓民族文化交流協議会がまとめた『731部隊生体実験証拠資料集』には震えを禁じ得ないほど悲惨な写真が掲載されている。日本は生きた人間に30種類以上にわたる生体実験を繰り返した。朝鮮人、中国人、モンゴル人、ロシア人など3000人以上が日本の生体実験により犠牲となった。

 日本はアウシュビッツ収容所にも劣らない自分たちの残酷な行為を隠すため、部隊の建物を破壊した。運よく生き残った400人に上る生体実験の被験者も毒ガスで殺害した。遺体は粉砕機に入れ、一部は焼いて灰を埋めた。細菌戦の資料や実験道具も爆破した。かつての部隊の建物はボイラー室の煙突だけが残っている。731部隊は640キロの細菌を保管したが、最終的にこれを処分できず、ハルビン周辺では数年にわたりペストが流行した。

 安倍首相は東日本巨大地震の被災地域である宮城県の航空自衛隊松島基地を訪問した。安倍首相は「731」と書かれた練習機の搭乗席に座り、親指を立てた姿で写真を撮影した。これに米国の外交関係者が衝撃を受けた。ワシントンの政治・外交情報誌の『ネルソン・リポート』は「ドイツの首相がふざけてナチス親衛隊の服を着用し姿を現したようなものだ」とコメントした。米国の大学教授は「これを見る全ての人の目を串刺しするような行動だ」と述べた。

 安倍首相が「731」と書かれた練習機に搭乗したのは偶然か、あるいは計算された行動だったのか。この基地には8機の練習機があり、いずれも3桁の番号が記され「731」もその中の一つだ。安倍首相は今月5日、東京ドームでのイベントで背番号「96」のユニホームを着て登場し、これも大きな問題となった。平和憲法を改正するため、憲法改正の手続きを定めた96条を見直すという普段からの主張を誰もが思い起こした。もし安倍首相と航空自衛隊が歴史的な事情を知りながら「731」という数字を選んだのであれば、これは他人の傷を意図的にほじくり返す行為と何ら変わりがない。

キム・グァンイル論説委員
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>
関連フォト
1 / 1

left

  • 【萬物相】「731」番の自衛隊機に搭乗した安倍首相

right