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「赤プリ」解体 屋上部分が地上に到着
5月18日 17時53分

「赤プリ」解体 屋上部分が地上に到着
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「赤プリ」の愛称で親しまれた東京都心の超高層ホテルは、上から徐々に縮んでいく独特の工法で、去年秋から解体が進められてきましたが、18日、屋上部分が地上に着きました。
今後は、重機などを使った通常の工法で解体され、「赤プリ」は、6月末には姿を消します。

東京・千代田区にあるかつての「赤坂プリンスホテル」は、高さおよそ140メートル、地上40階の超高層ホテルで、おととし3月に閉館しました。
去年11月からは、上から徐々に縮んでいく独特の工法で解体が行われました。
この工法では、屋上部分をジャッキで支えながら下の階の壁や柱などを2階分ずつ取り壊していきます。
「赤プリ」は、ことし3月の時点で、もとの半分の69メートルになり、18日、屋上部分が地上に着きました。
屋上部分は、騒音などを防ぐために建物の周りに設置された「囲い」の中に、徐々に隠れるようにして下がっていき、地上に着いたのは、午後2時ごろでした。
その瞬間、作業にあたってきた関係者たちは、拍手したり握手を交わしたりしていました。
「赤プリ」は、今後、重機などを使った通常の工法で解体され、6月末には姿を消します。
跡地には、ホテルやオフィスなどが入る高さ180メートルのビルと、高さ90メートルのマンションが、3年後の平成28年に完成することになっています。

海外から注目の工法

高さ140メートルもの超高層ビルを徐々に縮めていく日本生まれの解体工法は、海外からも注目を集めています。
建設会社によりますと、解体が始まった去年11月以降、海外メディアからの問い合わせが相次ぎ、13か国、15のメディアから取材を受けたということです。
その内訳を見ますと、アメリカやイギリス、フランスなど欧米各国に加え、中国や韓国、シンガポール、それにマレーシアなど、経済成長を続けるアジアの国のメディアも目立ちます。
海外メディアが関心を寄せているのは、各国でも、建物の老朽化や都市再開発に伴う建て替えで超高層ビルの解体を迫られるケースが将来増えるとみられるからです。
海外ではこれまで、ビルの解体は重機や爆破によるものが一般的でしたが、環境や周辺への影響が大きいため、今後は今回のような工法への需要が増えるのではないかと建設会社は分析しています。
大成建設の市原英樹次長は「解体工事の問題点は海外でも日本でも変わらず、密集した場所で建物を解体する工法が注目を集めたのだと思う。海外でもニーズがあるということなので、今後、この技術を積極的に広めていきたい」と話していました。

解体を惜しむ声

東京・赤坂周辺では、この半年、「赤プリ」が、徐々に小さくなっていく様子を気にかけていたという人が多く、解体を惜しむ声が聞かれました。
よく食事に訪れたという50歳代の女性は「やっぱり建物がなくなると寂しい感じがします。空が高くなった感じがします」と話していました。
23年前に結婚式を挙げたという40歳代の女性は「当時は、華やかなホテルで結婚式を挙げるのがブームで、今でも、同年代の人に『赤プリで結婚式を挙げた』というと、『すごいね』と言われます。解体されて、ひとつの時代が終わってしまったなっていう感じがあります」と話していました。
赤プリの脇にある外堀のボート場に勤める男性は「赤プリと言えば、誰もが知っている建物で、お客さんとも『小さくなったね』とか『いよいよだね』と話しました。最後までその姿を僕らに見せてくれたと思います」と話していました。

移ろう季節の中で

バブル経済の絶頂期、若者たちの憧れだった「赤プリ」の解体作業は、秋から冬、そして春へと周囲の風景が移ろう中で進められました。
解体は、去年11月、屋上部分のすぐ下に、騒音などを防ぐための囲いを設置することから始まりました。
解体中でも「赤プリ」のイメージを壊さないよう、囲いは、建物の一部のようなデザインです。
囲いの中では壁や柱を取り壊す作業が続けられ、「赤プリ」の高さは、ことし1月には、4分の1縮んで107メートルに、3月には、もとの半分の69メートルになりました。
解体作業が始まったとき、「赤プリ」の周囲の木々は紅葉で色づいていました。
その後、落葉の季節を経て春を迎えると、サクラが咲き誇って再び美しく彩られます。
また、「赤プリ」が縮むのに伴って、その姿の影に隠れていた周囲のビルが見通せるようになるなど、解体作業に伴って、都心の風景にも変化が見られました。

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