日本維新の会:橋下氏発言で混迷に拍車 失地回復難しく
毎日新聞 2013年05月17日 21時47分(最終更新 05月18日 00時54分)
日本維新の会の橋下徹共同代表(大阪市長)の従軍慰安婦をめぐる発言をきっかけにした混乱に拍車が掛かっている。維新の西村真悟衆院議員は17日、「日本には韓国人の売春婦がうようよいる」と発言。党は除籍(除名)処分にする方向だが、内外から一層の批判を浴びる事態を招いた。みんなの党の渡辺喜美代表は17日、夏の参院選に向けた共通公約の策定協議を凍結すると表明。維新が目指す共闘も崩壊状態に陥った。
西村氏は17日の党代議士会で「日本には韓国人の売春婦がうようよいる。反撃に転じた方がよい。私は今日、大阪に帰るが、『おまえ、韓国人、慰安婦やろ』と言ってやったらいい。皆さん、戦いましょう」と発言した。
西村氏は「不穏当だった」と発言を撤回したが、火消しはできず、離党届と会派離脱届を提出する事態に追い込まれた。維新は同日、西村氏の会派離脱だけを衆院に出したが、離党届は受理せずに除籍処分とする方向だ。
西村氏の発言は橋下氏を擁護する意図があったが、橋下氏は17日、大阪市内で記者団に「大変申し訳なく思う。候補者を見る目がなかった」と話し、昨年の衆院選で西村氏を擁立したことも含め謝罪。「(自分の発言と)まったく違う。僕は韓国の方や元慰安婦の方を侮辱するつもりはまったくない」とも述べた。松井一郎幹事長(大阪府知事)も議員辞職を求める考えを示し西村氏を突き放した。
一方、みんなの党の渡辺氏は同日、記者会見で維新との政策協議を凍結する意向を示し「凍結解除されない場合、選挙協力はご破算になる」と発言。維新候補への対抗馬擁立を検討する考えまで示した。浅尾慶一郎政調会長は維新の浅田均政調会長(大阪府議会議長)に、性風俗業の活用を在沖米軍に勧めた橋下氏の発言の撤回などを文書で求めた。
みんなが維新と距離を置く動きを鮮明にしたのは、橋下氏の発言が「国際問題」に発展したことが大きく、「参院選を一緒に戦えば、共倒れしかねない」との懸念が現実味を帯びてきたためだ。これに西村氏の問題発言が続き、自民党幹部が「維新の会は統制が取れなくなっている」と話すなど、維新の先行きを危ぶむ見方が強まっている。【木下訓明、村上尊一、阿部亮介】