ドイツ人のウイルス学者であるハラルド・ツアハウゼン氏は、1976年に「HPVが子宮頸がんの原因である」という仮説を発表しました。そして、1983年に子宮頸がん腫瘍の中にHPV16型のDNAを発見しました。翌年には、HPV18型のDNAも同腫瘍中に発見し、この研究結果を元に2006年には、子宮頸がんワクチンが製造されました。
HPV(ヒトパピローマウイルス)は、パピローマウイルス科に属するウイルスの一種で、現在確認されているだけでも約200種類あります。このウイルスは、大きく2種類に分けられます。皮膚に感染する上皮型と粘膜に感染する粘膜型です。
この粘膜型のうち、発がん性の高い15種類が、子宮頸がんの原因とされています。
具体的に示すと、HPV16,18,31,33,35,39,45,51,52,56,58,59,68,73,82,(ときに26,53,66)
型です。
実際には、これらの発がん性HPVに感染しても90%以上は、免疫により体内から自然に消失するため、子宮頸がんに進展するのは、約0、1〜0、15%とごくわずかです。
また、子宮頸がんになるまでには通常、数年〜十数年かかると推測されています。
そのため、子宮粘膜に異常が見つかったからといって、安易に手術するよりも、観察が大事であるという専門医もいます。