不気味なのは、今回の三宅島地震が、富士山噴火と連動する可能性があることだ。前ページの図を参照しながら、笠原氏の解説の続きを聞いてほしい。
「三宅島から北側に伸びるマグマの領域があり、それが多くの地震を起こしています。'00年の三宅島噴火の前にも火山性の地震がありました。このマグマは、三宅島から新島、利島、大島、箱根を通って富士山にまでつながっており、ひとつながりの活動として火山性の地震が起こる可能性があるのです。火山性の地震はプレートの移動で動かされたマグマが、地表近くの岩盤に割れ目をつくることで起こります。三宅島で火山性の地震が起こったということは、プレートの動きがあり、マグマの運動が富士山付近でも起こりうるということです」
富士山噴火の前兆は、ほかにもある。まず注目されるのが、連動しているとされる箱根山周辺の群発地震だ。
今年1月17日以降、3月8日までの間に、箱根山周辺では、体に感じることのない小さな火山性地震が実に1650回も記録されている。さらに、国土地理院の地殻変動観測などでは、箱根山周辺の一部の基線の伸びなど、山体の膨張現象も確認されているのだ。
「マグマもしくは火山ガスが上がってくると、山体が膨らんできます。箱根山で起こっている基線の伸びなどの現象は、これだと考えられます」(笠原氏)
富士山の裾に広がる河口湖の水位の低下という異常現象も気になる。
「河口湖の南岸の浮島に六角堂という建物が建っていて、普段は基礎部分の半分ぐらいまで水があり、船でしか行けないのです。ところが今は水が引いて、湖底を歩いて六角堂まで行ける。なぜこんなことになってしまったのか」(近隣住民)
富士山の雪が少なかったのが減水の理由だという声もあるが、湖水が減少しているのは富士五湖のうちの河口湖だけ。明らかに異常なのだ。河口湖漁業協同組合長の吉田三男氏も、「3m40cmほど水位が下がっている。例年には見られない現象」だと首をひねる。
河口湖の水位が下がっている理由は何なのか。地震学者で琉球大学名誉教授の木村政昭氏は、こう推定する。
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