ドルは13年に60円、過去4回の大底が最安値3割更新示唆-みずほC
9月29日(ブルームバーグ):みずほコーポレート銀行の田中宏幸チーフテクニカルアナリストは、8月に戦後最安値を記録したドル・円相場は40年間で5回目の大幅な下落過程にあるとし、過去4回の下落率や下げ幅などに基づき、今回は2013年ごろに1ドル=60円前後が大底になると予想している。
田中氏は28日までのインタビューで「1971年以降で4回の歴史的な大底は、特定の下落率と下げ幅でつながっている」と指摘。前回安値からの下落率は毎回3割前後で、下げ幅は約100円、80円、60円、40円と逓減してきたと説明した。相場水準が約半分に下げる局面も過去3度あり、「今回が4度目になるだろう」とも述べた。
ドル・円相場は「突き詰めて言えば、円の相場というよりドルの相場だ」と強調。長期的な投資資金の流れを左右する米10年物国債利回り が「5年ごとにロー(下限)を付けている」ことなどから、60円前後まで下げるのは13年になる可能性が高いとの見方を示した。
戦後は360円で固定制だったドル・円相場は、ニクソン米大統領が金とドルの兌換を停止した1971年8月のニクソン・ショックから、同年12月のスミソニアン協定による308円への切り下げを経て、変動相場制に移行直後の73年3月に254円45銭まで急落。75年12月に306円84銭まで上昇したが、78年10月には177円05銭まで下落した。
底値の更新、毎回3割その後、米国が抱える財政 ・経常 収支の「双子の赤字」をめぐる国際的な不均衡是正を目指し、日米英独仏がドル高是正・円高容認を決めた85年9月の「プラザ合意」を経て、87年12月には121円25銭に下落。日本のバブル経済末期の90年4月に160円20銭まで上げた後、95年4月には79円75銭へ下落した。98年8月に147円66銭を付けたが、今年3月の東日本大震災直後、約16年ぶりに戦後最安値を更新。8月19日には75円95銭と新安値を付けた。
過去4回の大底間の下落率(幅)は、①ニクソン・ショックから73年3月までが29.3%(105円55銭)②73年3月-78年10月が30.4%(77円40銭)③78年10月-87年12月が31.5%(55円80銭)④87年12月-95年4月が34.2%(41円50銭)。
今回は、前回安値の79円75銭から3割下げると55円83銭。3割からのかい離を誤差とみて、360円から今回を含めた5回とも30%ずつ下げた試算値は60円51銭となる。田中氏は「大底間の下げ幅は約20円ずつ縮まってきている。今回は79円75銭から20円程度になる」とも分析している。
ドル・円相場が直近の高値から5割程度下げる「半値の法則」も過去に3度生じたと、田中氏は指摘する。71年8月までの360円から78年10月の177円05銭、プラザ合意直前の243円60銭から87年12月の121円25銭、90年4月の160円20銭から95年4月の79円75銭-を挙げ、今回も「半値に向かっている可能性が高い」と分析。起点は98年8月の147円66銭ではなく、米国を震源とする金融危機が生じる前の07年6月に付けた124円14銭との見方を示した。
米国の連邦債務 をめぐる政治的混迷や初の格下げ、欧州債務危機の深刻化、世界経済の減速懸念などを背景に、ドル・円相場は4月の年初来高値85円53銭から一時11%余り下落。政府・日本銀行が8月4日に円売り介入 と追加金融緩和を実施後も下落基調が続いている。
ブルームバーグ・データによると、市場関係者(中央値)はドルが対円で年末に78円、約1年後には82円と予想している。
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更新日時: 2011/09/29 08:36 JST