【荻原千明】大阪市阿倍野区のビリヤード場・保名(やすな)倶楽部を70年間にわたり営み、その半生が舞台にもなった「浪速の女ハスラー」南川千代(ちよ、本名・千代子)さんが心不全のため死去した。96歳だった。遺志により葬儀は行わなかったが、「偲(しの)ぶ会」を25日に開く。
千代さんは先月19日、店が開く午後2時に窓際のいつもの席に座った。1942年ごろの開店当初から磨き続けた黒檀(こくたん)のビリヤード台の傍ら。40年ぶりに来店したお客さんを夕方近く、「またね」と笑顔で送り出した後倒れた。2日後の21日午後9時29分、大阪市内の病院で息を引き取った。
20年ほど前から包装紙を折り畳み、小さな「星」をたくさん作っていた。「亡くなったら自分の周りにまいて」と話していた。星への願いは「死ぬまで働きたい」。その通りの一生だった。星は棺(ひつぎ)に納められた。
店は三女が切り盛りしている。偲ぶ会は25日午後3〜5時、大阪市阿倍野区王子町1の11の28の保名倶楽部で。千代さんの生前の写真や映像も紹介される。
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朝日新聞社会部