なぜmixiの経営陣はみんなスーツを着ているんだろうという疑問
熊坂 仁美 | ソーシャルメディアエキスパート/スピーカー
こんにちは、熊坂仁美です。
mixiの新経営陣が発表になり、37才の笠原健治氏から30才の朝倉祐介氏に「若返り」のバトンタッチをしました。
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記者会見での写真を拝見すると、さすがに皆さんビジネスエリートらしく、びしっとしてらっしゃいますね。
でも、私はこの写真、強烈な違和感を感じたんです。
海外のソーシャル系サービスのやんちゃな若きCEOたちを見慣れているせいでしょうか。
なんというか、スーツの立ち姿が皆さん、どうにもこうにも保守的でお行儀がよくて、
全然「ぎらついて」ないし、「大幅な若返り」って感じでもない。
この人たち、これから面白いことやりそう!といった雰囲気がほとんど感じられなくて、
もう、真面目に真剣にSNSに取り組んでいきます、みたいな。
もう、このままみんなでお通夜にだって行けちゃいます、みたいな。
もちろん業績不振による社長交代の記者会見ですから、株主の手前きちんとしなければというのはわかります。
こういった席でネクタイ着用は世間の常識ですしね。
確かに保守的にすればご年配の株主は安心するのでしょう。
でもmixiユーザーはどうなんでしょうか。
「わあ、きちんとした立派な経営者のいるSNSなんだなあ。じゃあmixiに参加してみようか」と思う新規ユーザーっているんでしょうか。
もしかしたらこういう席でCTOすらラフな服装が許されないことがmixiの問題点だったのだな、と思ったりするわけです。
さて、今朝未明、Googleの新機能発表の基調講演GoogleI/0 2013がありました。
「Google I/O」開幕、新ハングアウトや新Google+を発表~地図や検索の将来像も
Googleとmixiでは文化も背景も違いますし、かたや開発者向けカンファレンス、かたや経営陣発表と状況も違いますので単純に比べることはできませんが。
やはりちょっとmixiの老成が心配なので、エールを送る意味であえて対比してみます。
GoogleCEOラリー・ペイジ氏は赤いTシャツにジーンズ、ルーズな黒のカーディガンで登場。
http://gizmodo.com/larry-page-reminded-us-why-we-love-google-today-506915269?utm_source=feedly
40才。髪には白髪が目立ちます。声帯の病気でここ1年ほど声が出せない状態だったペイジ氏は、声こそ弱々しかったけれど、そのメッセージは力強いものがありました。
(45秒ぐらいからラリー・ペイジ登場)
自分のヒストリー、そしてテクノロジーへの想いとかかわりを訥々と話し、「他社とのプラットフォーム戦争をするのではなく、私たちは、まだこの世に存在していない偉大なものを創り出すべきだと思っている」と語るペイジ氏。
GIZMODOの記者は、「会社のCEOというより、世界を変えられると自分が心の底から思っている会社の責任者、という感じだった」と書いています。
もしラリー・ペイジ氏が、自然体のこんなスタイルではなく、コンサバな紺のスーツとネクタイで現れたらどうなのでしょうか。
同じ言葉でも、また違ったメッセージに聞こえていたかもしれません。
少なくとも、Googleに思いを寄せるエンジニアやGoogleのヘビーユーザーがどう感じ、どんなツイートをするか想像できます。
ヘビーユーザーで思い出しました。
Facebookもそうですが、Googleも経営トップがGoogle+をしっかり使ってます。
この基調講演の前日、ペイジ氏は自分が声の病気であることをGoogle+の自らのページで告白しました。
Google+で大きな話題になったため、観客はみなそれを知っており、登壇したとき大きな拍手で彼を迎えたのです。
また、Google+の開発責任者のビック・ガンドトラ技術担当副社長は、Google+のバージョンアップに関する情報を自らのGoogle+でハッシュタグを活用しながら頻繁に発信しています。
一方、mixiの経営陣の方の名前をプロフィール検索すると、ちょっと残念な結果に。
今回の人事について日記で言及していたのは最高事業責任者の川崎裕一氏のみで、勤務先を明かしていない方、日記を書いていない方、なかにはお名前が見当たらない方も。
昨年秋、「ユーザーファースト(利用者第一)」を最重要テーマに掲げたmixi 。
であるならば、まずは経営陣の方がユーザーとして、自らのSNS内で自己紹介をし、日記で情報発信や交流をするところから始めてみてほしいなと思うのです。