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「敦賀原発下に活断層」の報告書 廃炉も
5月15日 19時15分

「敦賀原発下に活断層」の報告書 廃炉も
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福井県にある敦賀原子力発電所の断層を半年にわたって検証してきた国の原子力規制委員会の専門家会議は15日、「2号機の真下を走る断層は活断層である」という報告書を最終的に取りまとめました。
国の指針では、原子炉の真下に活断層があることを認めておらず、事業者が専門家会議の見解を覆せないかぎり敦賀原発2号機は運転ができなくなり、廃炉に追い込まれる可能性があります。

福井県にある敦賀原発の断層について検証してきた、原子力規制委員会の専門家会議は15日午後、会合を開き、事務局の原子力規制庁の職員が「2号機の真下を走る断層は活断層である」という報告書について説明をしました。
このあと専門家から報告書の表現について一部意見が出ましたが、内容そのものに異論は出ず、報告書は最終的に取りまとめられました。
規制委員会の島崎邦彦委員は「安全上重要な構造物の下にある断層がいったん動けば、いきなり深刻な事態が起きてしまう。原発の安全性が低い状態を改善する第一歩が踏み出せた」と述べて成果を強調しました。
国の指針では、原子炉の真下に活断層があることを認めておらず、日本原子力発電が専門家会議の見解を覆すデータを示せないかぎり、敦賀原発2号機は運転ができなくなり、廃炉に追い込まれる可能性があります。
専門家会議は、6か所の原発で断層の検証を行うことになっていますが、報告書が最終的に取りまとめられるのは、敦賀原発が初めてです。
日本原子力発電は、来月までに断層の調査を終えるとしていて、専門家会議は「新たな知見が得られれば報告書を見直すこともありえる」と説明しています。
規制委員会は専門家会議の報告書を受けて、来週にも、敦賀原発2号機についての対応を決めることにしています。

日本原電が抗議

敦賀原発2号機の真下を走る断層について、原子力規制委員会の専門家会議が「活断層である」という最終報告をまとめたことについて、日本原電の増田博副社長が急きょ原子力規制庁を訪れ、抗議文を提出しました。
抗議文の中で日本原電は「客観的な事実やデータに基づいて科学的、技術的に判断するよう訴えてきたが、なんら顧みることなくとりまとめが行われたのは公権力の行使に携わる規制当局として誠に不適切だ。今回の報告書は客観的な事実やデータによる裏付けを根本的に欠き、われわれの疑問や指摘に何も答えていない。今回の判断は誠に遺憾であり到底、容認できない」と指摘し、改めて結論を出すよう求めています。
抗議文を提出したあと記者団の取材に応じた増田副社長は「今後、データを増やして最終報告書をまとめ、専門家会議にぶつけていきたい」と述べるとともに、「濱田社長が田中委員長に直接、会談を申し入れる」と述べ、会社のトップとして直接、抗議する意向を明らかにしました。

専門家「説明責任果たすべき」

敦賀原発の断層問題を巡る原子力規制委員会の対応について、原子力の安全規制に詳しい東京大学の城山英明教授は「科学的根拠に基づく判断と透明性のある意思決定はある程度できていると思うが、活断層のような不確かなことが多い問題で、どのような根拠に基づいて判断したかの説明や情報提供は必ずしも十分ではない」と指摘しました。
そのうえで、城山教授は「規制委員会は単に科学的根拠に基づいてアドバイスするだけではなく、行政機関としての裁量を持っている。『独立性』があるがゆえに説明責任をより果たすべきだ。『独立性』は独善や孤立とは違うわけで、コミュニケーションを取らずに決定した内容を公表するだけでは真の『独立』とは言えない」と述べ、事業者や自治体からの反発や批判に応えるよう求めました。
また、城山教授は「原子力の規制に責任を持つ機関として社会的信頼を得ることは最も重要で、原発事故で失った国民の信頼を取り戻すためには、意思決定の丁寧な説明を地道に積み重ねる以外道はなく、今後の対応は極めて重要だ」と話しています。

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