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橋下氏への内外の厳しい視線

2013/5/16付
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 判断力は政治家の重要な資質の一つである。何をいつどこで語るかが日々問われる存在だ。日本維新の会の共同代表である橋下徹大阪市長はその自覚に欠けていないか。自身の言葉が国内どころか海外でも波紋を広げているのはなぜかをよく考えてもらいたい。

 発端は旧日本軍の従軍慰安婦について「必要なのは誰だってわかる」という発言だ。維新の石原慎太郎共同代表も「軍と売春はつきもの」と呼応した。

 性倫理は時代や国で異なるが、「精神的に高ぶっている集団を休息させる」ために女性を慰みものにしてよいはずがない。1981年発効の女子差別撤廃条約は女性の人身売買と売春の防止に1章を割く。日本も加盟国だ。

 橋下氏の言うように他国にも同じような過去があったとしても、それで日本の慰安婦問題が許容されるわけではない。

 元慰安婦への謝罪と賠償を求める韓国は猛反発している。日韓が相次ぎ政権交代したのにいまだ開けない首脳会談をさらに遠のかせた。東アジアの安定に逆効果でしかない。

 周辺国以外の目も厳しい。橋下氏は沖縄の米軍司令官に米兵犯罪を減らす一策として「風俗業の活用」を進言したそうだ。

 米国防総省報道官は米軍が買春を推奨しないのは「言うまでもない」と不快感を示した。人権に敏感な米欧メディアは「有力首相候補が性奴隷は必要と発言」(米AP通信)と批判的に報じた。

 騒ぎがさらに大きくなれば安倍晋三首相の「侵略の定義は定まっていない」などの発言も一体として扱われかねない。米国内の知日派は「日本異質論を誘発する」と懸念する。このままでは日本の国益を損なうおそれがある。

 上手の手から水が漏れるということわざがある。地盤や資金力のなさを言葉の力で補って野党第2党の党首になった橋下氏に「自分ならば誰でも説得できる」との過信はなかったか。謙虚さも政治家の大事な資質である。

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