言葉をうまく操り、局面を有利に展開する人。日本維新の会の橋下徹さんについて、そんなイメージをかねて持っていた。例えば前言を翻して関西電力大飯原発の再稼働に同意したときのことだ
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「計画停電を乗り切れるかというと相当な不安があり、おじけづいた」。いさぎよく白旗を上げた。これでは追及の手も鈍る。河村たかし名古屋市長の南京虐殺否定発言のときは、いきり立つ中国側に向け「過剰な反応はすべきでない。堂々と市長に抗議すればいい」とたしなめた
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従軍慰安婦発言で風当たりが収まらない。こんな言い方だった。「軍を維持し規律を保つために、当時は必要だった」「沖縄に行った時(米軍の)司令官に会い『もっと風俗業を活用してほしい』と言った」。耳が汚れる、と感じた人は男性にも多いだろう
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慰安婦が必要、とは先の戦争の時の話。今も必要とは言っていない―。「風俗」は売春業のつもりで言ったわけではない―。橋下さんは繰り返し釈明している。瞬発力のある一言で勝負してきた人とも思えない右往左往ぶりである
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昨年の夏、女性問題が週刊誌に報じられたとき、橋下さんは冗談交じりのコメントで取り繕っている。「まずは妻に説明しなければならない。これから家でものすごいペナルティーが待っている」。夫人がどう受け止めたか分からないけれど、今度は言葉ではごまかせない。