オオタカ:希少種解除検討 環境省「個体数が十分回復」
毎日新聞 2013年05月12日 東京朝刊
絶滅の恐れがあるとして種の保存法の「国内希少野生動植物種」(国内希少種)に指定されている猛きん類のオオタカについて、環境省は「個体数が十分回復した」として、指定解除の検討を始める。里山などに生息するオオタカは生態系ピラミッドの頂点に位置し、ダム建設など大型開発事業に対抗する自然保護運動の象徴的存在とされてきた。同省は専門家の意見を踏まえて判断する。
環境省によると、オオタカは都市化や農薬の影響などで生息数を減らし、1984年の「日本野鳥の会」の調査で約300〜500羽と推定された。91年に同省レッドリストの絶滅危惧2類に分類、93年には国内希少種に指定され、捕獲や譲渡、輸出入が禁止された。
これに伴い開発規制も進み、2005年に開催された愛知万博では、会場候補地だった愛知県瀬戸市周辺の「海上(かいしょ)の森」でオオタカの営巣が確認され、会場が変更された。
だが、08年の専門家の調査では関東地方周辺だけで約5800羽に増え、近年は都市部で目撃される例も相次ぐ。06年以降、絶滅危惧種からも外れた。
環境省は15日に中央環境審議会の小委員会を開き、専門家が国内希少種の指定解除が妥当か検討する。解除となれば、天然記念物である鳥のルリカケスが08年に解除されて以来2例目。その場合でも、鳥獣保護法で引き続き捕獲は禁止される。
オオタカ保護に取り組むNPO「オオタカ保護基金」(宇都宮市)の遠藤孝一代表は「個体数が増え、解除は妥当と考える。ただ、環境保全対策が後退することがあってはならない」と指摘している。【阿部周一】