2度目取得FA権の封印を宣言した中村紀に、球団もファンもホッとひと安心
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中日・中村紀洋内野手(34)が14日、フリーエージェント(FA)権の資格取得条件を満たした。02年のFA権取得と行使以来、今回が2度目の取得。権利については「興味がない」と発言。川上、岩瀬、井端、荒木ら、主力のFAでの動向が注目される竜軍団で、中村紀が真っ先に“残留”を宣言した。
ノリだけは心配いらない。FA権取得組の大量流出の可能性がある今オフ。だが、2度目の権利を取得したこの男は違った。中村紀が事実上の“生涯竜”宣言だ。
「2度目のFA権取得の心境? 興味がない。使いみち? 何度も言うけど興味がないですね。まあ、それだけ長く野球をやらせていただいている結果。ドラゴンズには本当に感謝しています」
近鉄時代の02年に最初のFA権を取得したときは「中村紀洋というブランドを近鉄だけで終わらせていいのか」とFA宣言。結局、残留したがメジャー球団を巻き込んだ大騒動になった。あれから6年、“興味津々”だった1回目とは何もかも違う。2度目は行使する、しない、それ以前の問題だというのだ。
中村紀洋は義理人情で生きる男だといわれる。大きな違いは中日入団の経緯だ。昨年1月にオリックスから自由契約になって浪人生活。他球団が獲得を控える中で、手を差し伸べたのがドラゴンズだった。中村紀は今年で35歳。慢性的な腰痛も抱えてはいるが、獲得を狙う他球団にとっての魅力は今季推定5000万円の低年俸。今年のFA制度改革によって、補償金制度の見直しなど低年俸選手の移籍が有利に働くことが濃厚だが、ノリの心は動かない。
球団にとってもひと安心だ。今年はすでにエース・川上と昨年の盗塁王・荒木がFA権を取得。また、順調なら井端が7月に取得する。さらに岩瀬、平井は昨年取得しながら、行使せずに残留した。基本合意しているFA年数の短縮によって森野の取得も濃厚な状況。一気にFA宣言となれば、球団は説得交渉に追われ、大量流出を覚悟しなければならない。そんな中、中村紀の言葉は球団のみならずファンにとっても安心できる。
「まあ、そんなことより来年ドラゴンズが契約してくれなかったらどうしようという感じです」
練習休日のこの日は名古屋市内の自宅マンションでリラックスした。昨年の日本シリーズMVPは今季も腰痛を抱える中で奮闘中。ここまで打率2割7分1厘、4本塁打。守備でもファインプレーを連発している。目指しているのはドラゴンズで野球を続けること。今後も“ノリの恩返し”を続けていく。 (兼田康次)
◆ノリ☆一問一答
「前回は自分がどういうふうに評価されているのか、知りたい面があった」
「そうやね。まあ、それだけ長く野球をやらせていただいている結果。ドラゴンズには本当に感謝しています」
「何度も言うけど興味がないですね。取る球団もないでしょう。まあ、ボクも(FA権の取得は)知らんかったくらい。(報道陣の)皆さんに聞くまではね。まあ、そんなことより来年ドラゴンズが契約してくれなかったらどうしよう、という感じです」
「そう見えますか。見せないようにするのも仕事のうちですからね」
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