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【生活保護を問う・外国人受給者(上)】超厚遇・日本の生活保護、抜け出せなくなった中国人夫婦の“人生”
生活保護制度の改革論議で、棚上げされた感があるのが外国人の受給問題だ。日本人と同様に2008年のリーマン・ショック後に急増、その数は7万人を超えた。年金に加入していない在日韓国・朝鮮人の高齢者に加え、中国、ブラジルといった「ニューカマー」の定住者らも、失業から間を置かずして生活保護に行き着く。来日の目的はいつしか見失われ、生活、医療、住宅費のフルコースがそろった日本の保護制度にどっぷり漬かって、抜け出せない。
残留2世、貧しさの末…
来日から20年。そのテレビに日本の番組は映らない。ベランダのパラボラアンテナを通じて、常に中国語の放送が流れている。
大阪府の府営団地に住む劉志強(リュウ・ジチャン)さん(56)=仮名=と、王雪春(ワン・シュエチュン)さん(55)=同=の夫婦は中国残留邦人の2世。およそ8年前から2人で生活保護を受給している。
劉さんは日本語がまったくだめ。王さんはいくらかましだが、日常会話もままならない。「日本語、難しい。トシ取った。働くの大変」。たどたどしい口調で王さんは窮乏を訴える。
夫妻は中国東北部、黒竜江省の出身だ。劉さんの母親が残留女性だった。貧しい農家で、まともに学校にも行けなかった。王さんの実家も貧農だ。中国語の読み書きもあまりできない。
2人は友人の紹介で知り合い、23歳で夫婦に。1男1女を授かったが、暮らしは上向かない。寒村から抜け出す転機が訪れたのは、1990年代前半のことだ。
「助けて」と強行入国
戦前から戦中にかけて満州などに移住し、敗戦の混乱で中国を抜け出せなくなった大勢の残留邦人をめぐっては、昭和47(1972)年の日中国交正常化により、ようやく本格的な永住帰国の道が開いた。
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