5月7日、予定通りハフィントンポスト日本版がローンチイベントを行なってスタートした。
最近多用されているローンチという言葉を使うあたり、新しさを感じる向きもあるかもしれないが、私はそうは思わない。
というのも、ハフポスト日本版のスタートがあまりに予想通りの問題点を孕んだまま、なんらそれらを解決せずに船出したことで、初めから暗雲の立ち込めているのが明らかだからである。
別に産まれたばかりのハフポストをくさそうというわけではない。新しいメディアの誕生は、閉塞した日本の言論空間に変化をもたらす意味で少なからず貢献するはずだ。
ただ、指摘しておきたいのは、今回の朝日新聞との提携自体はあまりプラスにはならないだろうということだ。
せっかくならば、ハフィントンの精神を活かした日本進出を行えばよかったのにとつくづく思う。きっとそれは、米国のメディア事情を知っている者であるならば共通した意見であろう。
ひとつの結論を言えば、今回のハフポスト日本版の誕生の裏には、朝日新聞幹部による、朝日新聞幹部のためのどうでもいい面子争いがある。
前社長の吉田慎一氏時代に決まったこの無意味で、古びた提携戦略は、木村伊量社長になっても見直されることなく、生煮えのまま突っ込んでいってしまった。
確かに朝日新聞はここ数年、ネットメディアへの進出を目論み、ツイッターやネットに詳しいという専門家やジャーナリストを呼んでアドバイスを受けていたのだが、まさしく今回はそれが問題の遠因となってしまったようだ。
仮に日本のネット界ではなく、米国のメディア事情に詳しい者ならば、ハフィントンポストが特定のメディア(朝日新聞)と組んだ時点で疑問を抱くことだろう。つまり、それは、多様性を重視するはずのハフポストの存在意義を、自ら否定することにつながるからに他ならない。
だが、その最初の具体的な矛盾すら乗り越えられずにハフポスト日本版はローンチしてしまった。