柔道の練習で死亡 町に賠償命令5月14日 17時54分
4年前、滋賀県愛荘町の中学校で、男子生徒が柔道部の練習中に倒れて死亡したことを巡り、遺族が訴えた裁判で、大津地方裁判所は、「意識障害をうかがわせる状況があったのに練習を中止しなかった」として、柔道部の元顧問の過失を認め、町に3700万円余りの賠償を命じました。
滋賀県愛荘町の秦荘中学校では4年前、柔道部に所属していた1年生の村川康嗣さん(当時12)が、試合形式で技をかけ合う乱取りの練習を2時間行ったあと倒れ、頭の中の出血が原因で死亡しました。
翌年、愛荘町の第三者委員会が、「初心者にふさわしい練習ではなかった」とする報告書をまとめ、村川さんの母親が、安全対策を怠ったとして、裁判で町などに損害賠償を求めていました。
14日の判決で、大津地方裁判所の長谷部幸弥裁判長は、「村川さんが意識を失う前に、意識障害をうかがわせる異常な行動が見られたのに、元顧問はそのまま練習を続けさせた。練習を中止して医師の診察を受けていれば、命が助かった可能性がある」と述べて、元顧問の過失を認め、愛荘町に3700万円余りの賠償を命じました。
一方、遺族側は元顧問による暴力的な指導があったとも主張しましたが、この訴えについては認めませんでした。
村川さんの死亡を巡っては、遺族の告訴を受けて、警察が去年3月、元顧問を傷害致死の疑いで、また、元校長を業務上過失致死の疑いでそれぞれ書類送検しています。
判決を受けて、母親の村川弘美さんは、「不慮の事故として終わるのではなく、町の過失が認められたのはよかったと思います。しかし、責任の所在を明らかにし、練習で何があったのかを知りたかったのに、深い言及がなかった点には不満を感じています」と話していました。
一方、愛荘町の村西俊雄町長は、「ご本人やご遺族に大きな苦痛を与えた、取り返しのつかない重大な事故で、判決を真摯(しんし)に受けとめ、事故を二度と招かないよう万全の対策を取っていきます」とするコメントを出しました。
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