中国共産党機関紙「人民日報」が、尖閣諸島だけでなく「沖縄県全体の領有権」まで主張するような論文を掲載するなか、沖縄県民の意識調査が公表された。中国に対しては9割近くが「良くない印象」を持ち、米国と中国を比べると、米国に親近感を持つ県民が12倍以上も多かった。沖縄といえば反米・親中メディアの存在で知られるが、県民は常識的な判断をしているようだ。
沖縄県は8日、「沖縄県民の中国に対する意識調査」を初めて公表した=別表。くしくも、人民日報が、沖縄の「領有権」問題を議論するべきとの理不尽極まる論文を掲載したのと同じ日だ。
注目の調査で「中国に対する印象」を聞いたところ、良い印象を持っている県民は「どちらかといえば~」も加えて、9・1%だけ。良くない印象を持っている県民は同様で、なんと89%に上った。これは全国調査の84・3%よりも高い。
「良くない印象を持っている理由」としては、「資源やエネルギーの確保で自己中心的に見えるから」が60・1%でトップ。「国際的なルールと異なる行動をするから」(58・4%)、「尖閣諸島を巡り対立が続いているから」(56%)と続いた。
沖縄といえば、反米・反基地闘争がひんぱんに報じられるが、「中国と米国でどちらに親近感を覚えるか」を聞くと、米国により親近感を感じるが53・9%と過半数に達し、中国はわずか4・2%。「中国と台湾でどちらに親近感を覚えるか」でも、台湾が68%で、中国は4・7%だった。
「日本と中国の歴史問題について、どの問題を解決していくことが重要だと思いますか」と問うと、「中国の反日教育や教科書の内容」(69・8%)が断トツで、「中国メディアの日本についての報道」(48・6%)、「中国の政治家の日本に対する発言」(35・7%)となった。
調査は、昨年11月21日から同12月12日まで、沖縄県内に住む満15歳以上、75歳未満の男女を対象に行われた。標本数は3000人。
これらの結果は、多くの沖縄メディアが日本全国に伝える県民感情と大きくかけ離れているのではないか。
沖縄出身のジャーナリスト、仲村覚氏は「この意識調査は、私が沖縄で受ける肌感覚と極めて近い。つまり、いわゆる『沖縄の反米・親中世論』が、一部の団体や政治家、沖縄メディアがねじ曲げていたものであることを明らかにするものだ。沖縄メディアは、中国の沖縄領有権主張にも怒らず『複雑な心境だ』といい、最近は『琉球独立』まで報じ始めている。中国共産党と一体となっているようにも見える。沖縄県民も県外の方々もダマされてはいけない」と語っている。